なぜ子供はSNSに夢中になるの?保護者が知っておくべき魅力とリスク
お子さんがスマートフォンを持ち始めたり、周りのお友達がSNSを使い始めたりすると、「うちの子も始めてみたいと言い出すかもしれない」「もうすでに使っているけれど、何を見ているか分からなくて心配」と不安を感じる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
SNSは、大人にとっても便利な反面、時に難しさも感じられるものです。特に、ITにあまり詳しくない方にとっては、子供たちがなぜSNSに夢中になるのか、何がそんなに楽しいのか、そして具体的に何が危険なのかが見えにくく、漠然とした不安につながることが多いようです。
このサイトでは、ご家庭に合ったSNSの利用ルールを一緒に考えていくための具体的なステップをご紹介していますが、ルールを作る前に、まずはお子さんがなぜSNSに惹きつけられるのか、その「魅力」を知ることが大切です。魅力の裏にはリスクも存在します。両方を知ることで、一方的に「やめなさい」と言うのではなく、お子さんと一緒に、より安心してSNSを使うためのルールを話し合う土台ができると考えています。
子供がSNSに夢中になる「魅力」とは?
子供たちがSNSに惹きつけられるのには、いくつかの理由があります。これらは、大人にとってもSNSを使う上での魅力と共通する部分が多いかもしれません。
- 友達とのつながり:
- 「今、何してる?」「これ見た?」といった日常のささいなやり取りを、いつでも、どこでも友達と行うことができます。学校や塾以外の時間でも友達と繋がっている安心感や楽しさを感じられます。
- クラスや部活、趣味の友達など、グループを作って情報を共有したり、一緒に盛り上がったりすることも簡単です。
- 自分の気持ちや興味を発信する楽しさ:
- 自分の好きなこと(趣味、推し、日常の出来事など)を写真や文章、動画などで発信し、それを見た友達や同じ興味を持つ人から「いいね!」やコメントをもらうことで、「自分を受け入れてもらえた」「共感してもらえた」と感じる喜びがあります。
- 自分の考えや日々の出来事を記録する日記のような使い方をする子供もいます。
- 新しい情報や世界との出会い:
- 自分の興味があることについて、様々な情報(好きなゲームの攻略法、アイドルの最新情報、流行の動画など)を簡単に見つけられます。
- 自分と同じ趣味を持つ人たちとインターネット上で繋がり、情報交換をしたり、知らない世界を知ったりすることができます。
- 暇つぶしや娯楽:
- 面白い動画を見たり、ゲームをしたり、他の人の投稿を眺めたりと、手軽に楽しめるエンターテイメントとして利用できます。
これらの「魅力」は、子供たちの好奇心や承認されたい気持ち、誰かと繋がりたいという自然な欲求を満たすものです。だからこそ、子供たちはSNSに強く惹きつけられ、夢中になりやすいのです。
魅力の裏側にある「リスク」も知っておこう
SNSの魅力が子供たちを惹きつける一方で、注意しておきたい「リスク」も確かに存在します。夢中になりすぎるあまり、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 利用時間の増加:
- SNSでのやり取りや情報収集が楽しくて、ついつい長い時間を使ってしまい、睡眠不足になったり、宿題がおろそかになったり、他の遊びをしなくなったりすることがあります。
- 心ない言葉やトラブル:
- インターネット上では、直接顔が見えないために、普段なら言わないようなひどい言葉(誹謗中傷)を使ってしまう人や、見ず知らずの人から嫌がらせを受けたり、仲間外れにされたりすることがあります(ネットいじめ)。
- 間違った情報や危険な情報:
- SNSには、正しい情報だけでなく、嘘の情報(デマ)や、子供には見せたくないような不適切な情報、危険な行動を促すような情報も流れてくることがあります。
- 知らない人とのつながり:
- インターネット上で知り合っただけの、顔も名前も知らない人(「ネカマ」や「サクラ」と呼ばれる、本当の年齢や性別、目的を偽っている人もいます)と安易にやり取りをしてしまい、個人情報を教えてしまったり、直接会う約束をしてしまい事件に巻き込まれたりする危険性があります。
- 他人との比較や承認欲求の偏り:
- 友達や他の人のキラキラした投稿ばかりを見ていると、「自分はそれに比べてつまらない」「もっと良く見せたい」と感じてしまい、過剰な写真加工をしたり、自分を偽ったり、他人と比べて落ち込んだりすることがあります。
これらのリスクは、SNSの「手軽さ」や「匿名性」といった特徴と密接に関わっています。子供たちは、このようなリスクがあることを十分に理解しないまま、SNSの楽しさばかりに目を向けてしまいがちです。
保護者ができること:理解しようとする姿勢と対話
お子さんがなぜSNSに夢中になるのか、その「魅力」を知ることは、頭ごなしに「ダメ」と言うのではなく、お子さんの気持ちに寄り添う第一歩となります。そして、その魅力の裏にある「リスク」を知ることは、なぜルールが必要なのかを理解する上で重要です。
大切なのは、SNSそのものを否定するのではなく、お子さんがSNSを通じて何を楽しんでいるのか、どんなことを知りたいと思っているのか、まずは聞いてみることから始めてみることです。「どんな友達とどんな話をしているの?」「最近面白かった投稿はある?」といったように、お子さんのSNSでの活動に興味を持って、温かく尋ねてみてください。
そして、リスクについて話すときも、「これは危ないからダメ!」と一方的に禁止するのではなく、「もし、こんなことがあったらどうすればいいんだろう?」と、お子さんと一緒に考える形にすると、お子さん自身もリスクについて真剣に考えるきっかけになります。
お子さんがSNSに感じる魅力と、保護者が知っておくべきリスク。この両方を理解することが、ご家庭に合ったSNSの利用ルールを考える上での出発点となります。次のステップでは、具体的なルール作りのポイントについて考えていきましょう。