【家庭で実践】お子さんが進んで守る! SNSルールの伝え方・話し合い方
お子さんのSNS利用が始まるにあたり、ご家庭でSNSの利用ルールを作成された方もいらっしゃるかもしれません。ルールを作ることはとても大切ですが、それと同じくらい大切なのが、作ったルールをお子さんにどのように伝え、理解してもらうかということです。
「一方的にルールを押し付けても、子供は聞いてくれないのでは…」 「どう話せば、ルールを守ることの大切さを分かってもらえるのだろう?」
そういった不安をお持ちの保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、お子さんが家庭のSNSルールを「守らされている」と感じるのではなく、「自分で守ろう」と思えるようになるための、効果的な伝え方や、お子さんとの話し合いの進め方について、分かりやすくご説明します。
なぜ「伝え方」が重要なのか? 一方的なルールがうまくいかない理由
ご家庭で決めたSNSルールは、お子さんの安全を守るためにとても大切なものです。しかし、そのルールが一方的に「こうしなさい」と指示されるだけだと、お子さんは納得できず、反発したり、隠れてSNSを利用したりする可能性も出てきてしまいます。
お子さんがルールを理解し、納得して守るためには、なぜそのルールが必要なのか、理由を丁寧に伝えることが欠かせません。
例えば、自転車に乗る練習をするときに、「ヘルメットをかぶりなさい」とだけ言われるよりも、「もし転んだときに、頭を守るためにヘルメットが必要なんだよ。大切な体を怪我から守るためだからね」と理由を添えてもらった方が、子供は納得しやすいのではないでしょうか。SNSのルールも同じです。危険から身を守るため、より良い経験をするために、なぜこのルールがあるのかを理解することが、お子さんがルールを主体的に守る第一歩となります。
また、お子さんと一緒にルールについて話し合うことで、家庭内の信頼関係を築くことにもつながります。「お父さんやお母さんは、私のことを信頼して、一緒に考えてくれているんだな」と感じられれば、お子さんも安心して親に相談しやすくなります。
伝えるための準備:親が意識したいこと
お子さんにSNSルールを伝える前に、保護者の方ご自身がいくつか心構えをしておくと、話し合いがよりスムーズに進みます。
まず、なぜご家庭でこのSNSルールが必要なのか、その理由を改めてご自身の頭の中で整理しておきましょう。SNSには楽しい面がたくさんありますが、同時に個人情報が漏れてしまったり、知らない人とのやり取りでトラブルになったり、心ない言葉に傷ついてしまったりする可能性も残念ながら存在します。そういった危険性からお子さんを守るために、また、SNSを上手に使いこなし、豊かな経験ができるようにするために、ルールが必要なのだということを、親自身がしっかりと理解しておくことが大切です。
次に、お子さんを信頼する気持ちを持って、話し合いに臨みましょう。最初から「どうせ守れないだろう」「言っても無駄だ」という気持ちで話すと、それはお子さんにも伝わってしまいます。「あなたなら、きっとルールを守って、上手にSNSと付き合っていけるよ」という期待を伝えることで、お子さんのやる気を引き出すことができます。
そして、話し合いの中で、つい感情的になってしまわないように意識することも大切です。お子さんの態度にイライラしたり、反論されてカッとなったりすることもあるかもしれません。しかし、感情的な言葉は、お子さんを頑なにしてしまいがちです。深呼吸するなどして、落ち着いて話せるように準備しましょう。
お子さんに伝わる! 具体的な伝え方・話し合いのステップ
さあ、いよいよお子さんとSNSルールについて話す時間です。以下のステップを参考に、穏やかに進めていきましょう。
ステップ1:話す時間と場所を選ぶ
お子さんがリラックスしていて、時間に余裕があるときを選びましょう。食事の後や週末の午後など、家族みんなが落ち着ける時間が理想的です。お子さんが「何か説教されるのかな?」と身構えないような、普段の会話の延長のような雰囲気で始めるのが良いでしょう。
ステップ2:「なぜルールが必要か」を分かりやすく説明する
最初に、なぜ今SNSのルールについて話したいのか、その理由を分かりやすく説明します。
「〇〇(お子さんの名前)が安全に、楽しくSNSを使うために、いくつかお家での約束事を決めたいと思って。」
といったように、お子さんの安全や楽しみが目的であることを伝えます。そして、SNSにどんな楽しさがあるか(友達とつながれる、色々な情報が得られるなど)に触れつつ、注意してほしいこと(知らない人からの連絡、変なサイトを見てしまうこと、悪口など)も、具体的すぎる専門用語を使わずに、簡単な言葉で説明します。
「例えばね、インターネットには親切な人もいるけれど、中には〇〇(お子さんの名前)を騙そうとしたり、嫌なことを言ったりする人もいるかもしれないんだ。そういう人から自分を守るために、このルールがあるんだよ。」
といったように、お子さん自身の身に起こりうることとして想像できるように話すと、より真剣に聞いてくれやすくなります。
ステップ3:作成したルールを一つずつ丁寧に説明する
ご家庭で事前に話し合って作成したルールを、一つずつ読み上げながら説明します。その際、「〜してはいけません」という禁止ばかりにならないように、「〜するときは、△△に注意しようね」といった肯定的な言い方も交えると、お子さんも受け入れやすくなります。
それぞれのルールについて、「なぜそう決めたのか」の理由を必ず添えましょう。
例: * 「夜○時以降はSNSを使わない」というルールなら: 「夜遅くまでSNSをしていると、目が疲れるだけじゃなくて、脳が興奮して眠れなくなっちゃうことがあるんだ。ちゃんと寝ないと、次の日の勉強や遊びに集中できなくなったり、体が疲れやすくなったりするから、夜はしっかり休むためにこの時間を決めたんだよ。」 * 「知らない人からの友達申請は受けない」というルールなら: 「インターネットでは、相手が本当にどんな人か顔が見えないから分からないんだ。優しそうな言葉をかけてくる人も、実は悪いことを考えている人かもしれない。だから、よく知らない人とはつながっちゃいけないというルールなんだ。これは〇〇(お子さんの名前)を危険から守るための、一番大切な約束の一つだよ。」
このように、ルールの裏にある親の願いや科学的な理由、危険性を具体的に伝えることで、お子さんは納得しやすくなります。
ステップ4:お子さんの意見や気持ちを聞く
ルールを一方的に説明するだけでなく、お子さんの意見や気持ちを聞く時間を必ず作りましょう。
「このルールについて、〇〇(お子さんの名前)はどう思う?」「何か心配なことや、分からないことはある?」
と問いかけ、お子さんが感じていること、疑問に思っていることを話してもらいましょう。お子さんの意見の中には、親が見落としていた視点があるかもしれません。全てを受け入れる必要はありませんが、お子さんの声に耳を傾ける姿勢を見せることで、お子さんは「自分のことも考えてくれている」と感じ、ルールを受け入れやすくなります。
お子さんからの質問には、誠実に、分かりやすい言葉で答えましょう。もしすぐに答えられないことがあれば、「調べてからまた話そうね」と伝え、後できちんと答えるようにしましょう。
ステップ5:一緒に守るための協力体制を確認する
ルールを守るのはお子さん自身の責任ですが、困ったときには親がいつでも味方であることを伝えましょう。
「もしSNSを使っていて、何か嫌なことや困ったことがあったら、どんな小さなことでも良いから、必ずお父さんかお母さんに話してね。一人で抱え込まずに、一緒に解決しよう。」
と伝えることで、お子さんは安心して相談できるようになります。ルールを守れなかったときも、頭ごなしに叱るのではなく、「どうして守れなかったのかな?」「どうすれば次から守れるかな?」と、お子さんと一緒に解決策を考える姿勢が大切です。
ステップ6:ルールを見える形にして共有する
話し合って決まったルールを、紙に書いたり、PCで打ち込んで印刷したりして、お子さんの部屋や家族が集まる場所など、目につくところに貼っておくと良いでしょう。文字だけでなく、お子さんが理解しやすいように簡単な絵や記号を添えるのも良いかもしれません。
ルールがいつでも確認できるようにすることで、お子さん自身も意識しやすくなりますし、家族みんなで「このルールを守ろうね」と意識を共有することができます。
もしお子さんが反発したら?
一生懸命伝えても、お子さんがすぐにルールを受け入れず、反発したり、「友達はみんな自由にやってるのに!」と言ったりすることもあるかもしれません。そんな時も、感情的にならず、冷静に対応することが大切です。
- お子さんの気持ちを聞く: 「そう思うんだね。どうしてそう思うのか、聞かせてもらえる?」と、まずは理由を聞きましょう。お子さんなりの不満や言い分があるはずです。
- 共感できる点を探す: 全てに同意する必要はありませんが、「自由にSNSを使いたいんだね」「友達と差があるように感じるんだね」など、お子さんの気持ちに共感する言葉を伝えることで、お子さんも落ち着いて話を聞いてくれやすくなります。
- ルールの目的を繰り返す: 再度、ルールがお子さん自身を守るため、健やかに成長するために必要であることを、根気強く伝えましょう。一度で全てが伝わらなくても、繰り返し伝えることが大切です。
- ルールの見直しも視野に: お子さんの意見を聞いた上で、必要であればルールの内容を少し見直すことも検討しましょう。ただし、安易な譲歩ではなく、「この点については、〇〇の意見も聞いて、△△ならできるようにしてみようか。でも、この✕✕というルールは、どうしても必要だから守ってほしいな。」といったように、家庭の考え方をしっかりと伝えながら調整することが重要です。
まとめ
ご家庭のSNSルールは、一度作ったら終わり、というものではありません。お子さんの成長に合わせて、SNSの使い方や向き合い方も変わっていきます。定期的にお子さんとルールについて話し合い、必要であれば見直していくことも大切です。
お子さんにルールを伝えることは、単に禁止事項を言い渡すことではなく、お子さん自身がインターネットの世界で安全に、そして主体的に行動できるようになるための、大切な学びの機会です。
時間はかかるかもしれませんが、お子さんとの信頼関係を大切にしながら、根気強く、丁寧に向き合っていくことが、お子さんがSNSルールを心から理解し、進んで守るようになるための最も確実な方法です。この記事が、皆さんのご家庭での話し合いの一助となれば幸いです。