家庭のSNSルールをより安心に:フィルタリングやペアレンタルコントロールとの賢い連携法
お子さんがSNSを使い始めると、様々な情報が目に入ってくるようになります。家庭でSNSの利用ルールを決めることは、安心のためにとても大切な一歩です。これまでの記事で、どうやってルールを決めるか、どんなことを話し合うかなどをお伝えしてきました。
しかし、ルールを決めても、「万が一、危ないものを見てしまったらどうしよう」「知らない人からメッセージが来たら怖い」といった不安が拭いきれない方もいらっしゃるかもしれません。特に、技術的なことにあまり詳しくない場合、SNSの仕組みや危険性が分かりづらく、漠然とした不安につながることがあります。
実は、家庭で決めた「ルール」を、スマートフォンの「設定」と組み合わせることで、お子さんのSNS利用環境をより安全に、安心して見守ることができるようになります。それが「フィルタリング」や「ペアレンタルコントロール」と呼ばれる機能です。
この記事では、ルールと技術的な設定をどのように組み合わせれば良いのか、その考え方や具体的な連携方法について、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。
SNSルールだけではカバーしきれない「技術的な側面」とは?
家庭のSNSルールは、「何時まで使うか」「どんなことを投稿するか」「誰とつながるか」など、お子さん自身が意識して守るべき約束事です。これは、お子さんが自分で考えて行動するための大切な基礎となります。
しかし、SNSの世界には、意図せずとも危険な情報に触れてしまう可能性がゼロではありません。例えば、
- 年齢に合わない刺激の強い画像や動画が、思わぬ形で表示されてしまう。
- 詐欺や悪質なサイトへのリンクが紛れ込んでいる。
- 見知らぬ人からの友達申請やメッセージが勝手に届いてしまう。
- アプリ内での高額な課金を知らない間に子どもがしてしまう。
こういったことは、ルールで「危ないものを見ない」「知らない人と話さない」と約束しても、技術的な仕組みによって発生してしまうことがあります。すべてをお子さんの判断力だけに任せるのは、まだ難しい年齢のお子さんには負担が大きいかもしれません。
そこで、スマートフォンの「設定」が役立ちます。ルールで決めた約束事を、技術的な力でサポートし、お子さんを守るための「安全な壁」を作るイメージです。
「フィルタリング」と「ペアレンタルコントロール」って、何のこと?
「フィルタリング」や「ペアレンタルコントロール」という言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどんなことができるのか、難しそうだと感じる方もいるかもしれません。簡単に言うと、これらは「お子さんがスマートフォンやアプリを使う上で、見せたくないものを見せないようにしたり、させたくないことをさせないようにしたりする機能」のことです。
- フィルタリング: 主にインターネット上のウェブサイトや、特定の種類の情報を制限する機能です。「アダルトサイトは見られないようにする」「暴力的な情報の含まれるサイトにはアクセスできないようにする」といった設定ができます。携帯電話会社(キャリア)が提供しているサービスや、スマートフォンの設定、あるいは特定のアプリに備わっている場合があります。
- ペアレンタルコントロール: スマートフォン全体や、インストールされているアプリの利用を管理・制限する機能です。「特定のアプリを使えないようにする」「アプリのインストールに保護者の許可が必要にする」「利用時間を制限する」「課金ができないようにする」といった、より幅広い設定が可能です。スマートフォンのOS(iPhoneならiOS、AndroidならAndroid OS)に標準で搭載されていることが多い機能です。
どちらも目的は「お子さんを危険から守る」ことですが、フィルタリングが主に「見せる情報」の制限、ペアレンタルコントロールが主に「利用できる機能やアプリ、時間」の制限、と考えると分かりやすいかもしれません。難しそうな名前ですが、「お子さんのスマホを、親が見守るための安心設定」と捉えていただくと良いでしょう。
ルールと「安心設定」を賢く組み合わせる方法
家庭で決めたSNSルールと、これらの「安心設定」は、どちらか一方だけではなく、組み合わせて使うことで最大の効果を発揮します。
ステップ1:まずは家庭のルールを話し合って決める
技術的な設定をする前に、最も大切なのは、やはりお子さんと一緒にSNSの利用ルールを話し合い、決めることです。「なぜこの時間までなのか」「なぜ知らない人と直接会ってはいけないのか」など、ルールの理由を丁寧に伝え、お子さん自身がSNSの危険性やマナーを理解することが基礎となります。これは、お子さんが成長して自分で判断できるようになるための大切な学びの機会です。
ステップ2:決めたルールに合わせて「安心設定」を活用する
話し合いで決めたルールをサポートするために、「安心設定」を活用します。
- 「夜9時以降は使わない」と決めたら、ペアレンタルコントロールで夜9時以降はSNSアプリが開けなくなるように設定する。
- 「知らない人からの友達申請は受けない」と決めたら、SNSアプリのプライバシー設定で、知らない人からメッセージが送られてこないように設定する(これはアプリごとの設定になります)。
- 「ウェブサイトを見るときは気をつける」と決めたら、フィルタリングで有害なサイトが見られないように設定する。
- 「ゲームの課金はしない」と決めたら、ペアレンタルコントロールでアプリ内課金ができないように設定する。
このように、ルールで「こうしようね」と決めたことを、設定で「それが守られやすい環境」を作るイメージです。お子さんがうっかりルールを破ってしまわないように、技術的なサポートを入れることで、お子さん自身の負担も減らすことができます。
ステップ3:「安心設定」はあくまで補助、大切なのはコミュニケーション
「安心設定」をすればもう大丈夫、と任せきりにしてしまうのは良くありません。設定はあくまで技術的な補助です。最も大切なのは、お子さんと普段からSNSの使い方について話したり、「何か困ったことがあったら、すぐに教えてね」と伝えたりする、日々のコミュニケーションです。
設定は完璧ではありませんし、新しい危険やサービスが次々と出てきます。設定に頼りすぎず、お子さんとの信頼関係を築きながら、ルールの意味や大切さを伝え続けることが、長期的に見てお子さんを危険から守ることにつながります。
「安心設定」を始めるための最初の一歩
フィルタリングやペアレンタルコントロールの設定は、お使いのスマートフォンやお子さんが契約している携帯電話会社、利用しているアプリによって方法が異なります。「どこから設定すればいいの?」と迷ってしまうかもしれません。
まずは、以下の場所を確認してみてください。
- お子さんのスマートフォン本体の設定画面: 「スクリーンタイム」(iPhone)や「デジタルウェルビーイング」「保護者による使用制限」(Android)といった項目を探してみてください。
- 契約している携帯電話会社(キャリア)のウェブサイトやサポート窓口: お子さん向け、または家族向けの安心・安全サービスとして、フィルタリングサービスなどを提供している場合があります。契約時にも案内されていることが多いので、資料を確認するか、電話や店舗で問い合わせてみるのも良いでしょう。
- お子さんが利用しているSNSやアプリの設定画面: アプリごとに「プライバシー設定」や「安全設定」といった項目があります。ここで、友達申請を受け付ける範囲や、投稿を見せる範囲などを設定できます。
難しく考えすぎず、「うちの子のスマホを、もっと安全にしたいんだけど、どうすればいいですか?」と、身近な詳しい人(携帯ショップの店員さんや、ご家族、友人など)に聞いてみるのも良い方法です。一度設定してしまえば、その後は大きく変更する必要がない場合も多いです。
まとめ
家庭でSNSの利用ルールを決めることは、お子さんが安全にSNSを使うための土台作りです。そして、フィルタリングやペアレンタルコントロールといった技術的な「安心設定」は、そのルールを守りやすくし、思わぬ危険からお子さんを保護するための有効な手段です。
ルールと設定、どちらか一方だけに頼るのではなく、両方を組み合わせて活用することで、より安心してお子さんのSNS利用を見守ることができます。設定は難しそうに見えるかもしれませんが、最初の一歩を踏み出し、できることから始めてみましょう。
最も大切なのは、設定に頼りきりになるのではなく、ルールを通してお子さんとコミュニケーションを取り続け、「何かあったら助けてもらえる」という安心感を家庭で作ることです。ルールと設定を上手に使いながら、お子さんと一緒に、楽しく安全なSNSライフを送るための環境を整えていきましょう。