子供のSNS、どんな言葉に注意する? 家庭で決める「言葉遣い」ルール
お子様がSNSを利用し始めると、様々な情報との接点が増えます。その中で、多くの方が心配されることの一つに「言葉遣い」や「オンライン上でのコミュニケーション」があります。
現実の世界では、相手の表情や声のトーンを見て、言葉のニュアンスを理解したり、自分の言葉が相手にどう伝わったかを感じ取ったりできます。しかし、SNSなどのオンライン上では、文字だけのやり取りが中心になることが多く、こうした情報がありません。そのため、意図せず相手を傷つけてしまったり、自分の言いたいことがうまく伝わらなかったり、逆に誤解されたりする可能性があります。
また、匿名で書き込みができる場所では、普段なら言わないような強い言葉を使ってしまう人もいます。お子様がこうした言葉遣いに影響されたり、自分もつい強い言葉を使ってしまったりする危険性も考えられます。
こうしたオンライン特有の難しさから、SNS上での言葉遣いやコミュニケーションについて、ご家庭で話し合い、簡単なルールを決めておくことが、お子様が安心してSNSを使うために役立ちます。
なぜSNSの言葉遣いについてルールが必要なのか
オンラインでの言葉遣いは、現実世界での会話とは違う難しさがあります。
- 感情が伝わりにくい: 文字だけでは、冗談なのか、真剣なのか、怒っているのか、喜んでいるのかといった感情やニュアンスが伝わりにくく、誤解が生じやすくなります。
- 言葉が残りやすい: 一度インターネット上に書き込んだ言葉は、消したつもりでもどこかに残ってしまうことがあります。軽い気持ちで書いた言葉が、後々思わぬ問題になることもあります。
- 拡散しやすい: オンラインでの情報はあっという間に多くの人に伝わります。悪気のない言葉でも、広がることで大きな影響力を持ってしまうことがあります。
- 顔が見えない相手への配慮: 相手の顔が見えないため、つい強い言葉を使ってしまったり、相手の気持ちを考えずに行き過ぎた発言をしてしまったりすることがあります。
こうした理由から、オンラインでの言葉遣いには、現実世界とは少し違った注意が必要です。お子様がこれらの特性を理解し、周りの人との関係を大切にしながらSNSを利用できるよう、事前にルールを決めておくことが大切になります。
家庭で話し合いたい「言葉遣い・コミュニケーション」のルール項目
それでは、具体的にどのような点について、ご家庭で話し合い、ルールとして決めていくと良いのでしょうか。難しく考える必要はありません。まずは、お子様と一緒に「SNSで使う言葉で、どんなことに気をつけたらいいかな?」という視点で考えてみましょう。
いくつか、話し合いのヒントとなる項目をご紹介します。
- 人を傷つける言葉を使わない:
- 特定の人やグループの悪口、いじめにつながるような言葉は絶対に書かないことを確認しましょう。
- からかいのつもりでも、相手がどう感じるかを考えることの重要性を伝えます。
- 嘘や不確かな情報を広めない:
- 「〜らしいよ」「〜って聞いたけど」といった、自分が確かめていない情報を安易に書き込まないことを約束します。
- デマやチェーンメールのようなものを安易に信じたり、他の人に送ったりしないよう注意します。
- プライベートすぎる情報を書き込まない:
- 自分や友達の家の場所、学校の詳しい予定、家族の個人情報など、個人的な情報を安易に書き込まないルールを決めましょう。
- 写真や動画を投稿する際も、写り込んでいるものから個人が特定されないか確認することの必要性を伝えます。
- 「見ているだけ」の場所での発言に注意する:
- 特定の人だけが見るグループではなく、誰でも見られる公開された場所では、より一層言葉遣いに気を付けることの重要性を話します。
- 軽い気持ちで書いた一言が、全く知らない多くの人の目に触れる可能性があることを理解してもらいましょう。
- すぐに反応せず、一度立ち止まって考える:
- 何か腹が立つことや悲しいことがあっても、すぐに感情的な言葉を書き込むのではなく、一度時間を置いて落ち着いてからメッセージを送るように促します。
- 書き込む前に「これは書かれて嫌な気持ちになる人はいないかな?」「後で見返して後悔しないかな?」と考える習慣をつけることを提案します。
- 困ったことや嫌な思いをしたらすぐに相談する:
- 自分自身が悪口を言われたり、嫌な書き込みを見たりした場合に、一人で悩まず必ず保護者や信頼できる大人に相談することを約束しましょう。
これらの項目全てを一度に決める必要はありません。お子様の年齢やSNSの利用状況に合わせて、特に重要だと感じる点から話し合ってみてください。
親子で一緒にルールを作るステップ
家庭でのSNS言葉遣いルールは、保護者が一方的に決めて押し付けるよりも、お子様と一緒に話し合って作る方が、お子様自身が納得し、守ろうという気持ちになりやすいです。
- なぜルールが必要か、一緒に考える:
- 「SNSって楽しいけど、言葉の使い方で困ることもあるんだって」「どんなことに気をつければ、嫌な気持ちになる人がいなくなるかな?」など、問いかける形で話し合いを始めます。
- 具体的なニュースや身近な例(もちろん個人が特定されない範囲で)を挙げることも有効です。
- 具体的に「どんな言葉や行動に注意するか」をリストアップする:
- お子様にも意見を聞きながら、「これだけはしない」「こんな時はこうする」といったルール項目を書き出してみます。
- 難しい言葉を使わず、「悪口は書かない」「変なうわさは信じない」「知らない人にはむやみに返事しない」など、お子様にも分かりやすい言葉で表現します。
- ルールを守れなかった場合のことも少しだけ話しておく:
- 頭ごなしに叱るのではなく、「もし間違えてしまったらどうすればいいかな?」「困ったときはどうする?」など、リカバリーの方法や相談することの大切さについて簡単に触れておきます。
- 決めたルールを書き出す、または共有する:
- 話し合ったことを紙に書いて、冷蔵庫など家族みんなが見る場所に貼っておくのも良い方法です。アプリのリマインダー機能などを利用するのも良いでしょう。
- 文章としてまとめるのが難しければ、「悪口✕」「個人情報✕」「困ったら相談○」のように、簡単なキーワードだけ書き出しても構いません。
- 一度決めた後も、時々見直す:
- お子様の成長やSNSの利用状況は変わります。一度決めたルールも、時間が経ったら「これで大丈夫かな?」「何か困ったことはない?」と、時々親子で見直す機会を持つことが大切です。
まとめ
SNS上での言葉遣いやコミュニケーションは、現実世界とは異なる難しさがあります。お子様がインターネットの世界で気持ちよく過ごし、人間関係を築いていくためには、言葉の選び方や情報の扱いに注意が必要です。
難しく考えず、まずはご家庭で「SNSでの言葉遣い、どんなことに気をつけようか?」と話題にしてみてください。お子様と一緒に話し合い、簡単なルールを決めていく過程そのものが、お子様のメディアリテラシー(情報とうまく付き合う力)を育む大切な一歩となります。
全てを完璧にこなす必要はありません。まずはできることから、お子様と一緒に少しずつ取り組んでみてください。ご家庭に合ったペースで、安心できるSNS利用を目指しましょう。