SNSの『見えない危険』から子供を守る:どんな情報に注意すべき? 家庭でのルールづくり
子供のSNS利用が始まると、「知らないところで何か怖いことになっているのでは?」と不安になる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。特に、SNSの世界には、目に見えにくい危険な情報があふれていることもあります。
この記事では、SNSで子供たちが触れる可能性のある「危険な情報」にはどのようなものがあるのか、そして、そういった情報からお子さんを守るために、ご家庭でどのようなことに注意し、どのようなルールを作れば良いのかを、分かりやすくご説明します。専門的な知識は一切必要ありませんので、どうぞご安心ください。
なぜSNS上の情報には注意が必要なのでしょうか?
私たちが普段使っているインターネット、特にSNSでは、世界中の人たちが様々な情報を発信しています。これは、多くの情報に触れられる便利な点がある一方で、注意が必要な理由でもあります。
それは、「誰でも簡単に情報を発信できる」というインターネットの仕組みにあります。テレビや新聞のように、情報を出す前に専門家が内容を確認する、といったことが基本的にありません。そのため、中には下記のような情報が紛れ込んでいることがあります。
- 間違った情報や嘘(デマ):悪気がなくても誤った情報だったり、誰かを騙そうとする嘘の情報だったりします。
- 人を傷つける言葉や画像:誰かを攻撃する目的で、ひどい言葉を使ったり、嫌な画像を見せたりすることがあります。
- 危険なことに誘い込む情報:簡単にお金が儲かる、絶対に痩せる、などの甘い言葉で誘い、結果的に危険な目にあわせてしまう情報です。
- 見てはいけないもの:年齢にふさわしくない、過激な写真や動画などが、意図せず目に飛び込んでくることがあります。
子供たちは、このような情報が良いものか悪いものか、嘘か本当かを見分ける経験がまだ十分ではありません。好奇心から面白そうな情報に近づいてしまったり、友達が信じているからと鵜呑みにしてしまったりすることもあります。だからこそ、保護者の方が「どんな情報に注意が必要か」を知り、お子さんと一緒に考えることが大切になるのです。
具体的に、どんな情報に注意すべき?
子供がSNSで目にする可能性がある危険な情報には、いくつかの種類があります。ここでは代表的な例をいくつかご紹介します。
- 見たくない、嫌な気持ちになる画像や動画
- 例:人が傷ついたり、怖い動物が出たりするような、過激な映像。年齢に合わない、性的な画像や動画。
- SNSでは、誰かが面白半分に投稿したり、友達から送られてきたりすることがあります。うっかり見てしまうと、嫌な気持ちになったり、怖い思いをしたりすることがあります。
- 個人情報に関わる情報
- 例:自宅の場所がわかる写真(家や学校の外観)、名前、年齢、通っている学校、部活動など、自分や家族のことが特定できてしまうような情報。
- SNSでうっかり投稿してしまったり、プロフィールの設定で公開してしまったりすると、悪意のある人間に知られてしまう可能性があります。
- 嘘の情報や、人を騙そうとする情報
- 例:「これをクリックするだけで無料!」といった広告、簡単にお金が手に入るという儲け話、有名人を装った偽のアカウントからのメッセージ、「あなたの個人情報が漏れています」といった警告画面。
- これらは子供を騙してお金を取ろうとしたり、個人情報を抜き取ろうとしたりする手口です。本物そっくりに見せかけてくることもあります。
- 友達や他の人を傷つける情報(ネットいじめにつながるもの)
- 例:特定の友達の悪口を書き込む、仲間外れにするようなメッセージを送る、嫌がる写真を本人の許可なく投稿する。
- SNSでの言葉や画像は、あっという間に多くの人に見られてしまいます。軽い気持ちの投稿でも、受け取った相手は深く傷ついてしまうことがあります。
これらの情報は、大人の目から見れば「これは怪しいな」「これは危険だ」と気づくことが多いかもしれませんが、子供にとっては判断が難しいことがあります。
危険な情報から子供を守るための「家庭のルールづくり」
では、このような情報からお子さんを守るために、ご家庭でどのようなルールを作れば良いのでしょうか。大切なのは、ただ禁止するのではなく、なぜ注意が必要なのかを伝え、お子さんが自分で判断できる力を育むサポートをすることです。
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まずは保護者の方が知ること
- この記事でご紹介したような「どんな危険な情報があるのか」を知ることが第一歩です。
- 可能であれば、お子さんがどんなSNSを使っているのか、どんな機能があるのかを少し見てみるのも良いでしょう。(ただし、こっそり見ると信頼関係を損なう可能性があるので、オープンな話し合いの中で共有してもらうのが理想です。)
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お子さんと「なぜ注意が必要か」を話し合う
- 頭ごなしに「これはダメ」と言うのではなく、「インターネットには色々な情報があるけれど、中には嘘や、見ると嫌な気持ちになるものもあるんだよ」と、落ち着いて説明します。
- 「もし変な情報を見たら、どんなことが起きる可能性があるかな?」と一緒に考えてみるのも良いでしょう。
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具体的なルールを話し合って決める
- どんな情報に注意すべきかを話し合った上で、具体的な行動のルールを決めます。例えば、下記のようなルールが考えられます。
- 「変だな」「怖いな」と感じる情報を見たら、すぐに使うのをやめる。
- 知らない人から来たメッセージや、怪しい投稿はクリックしない。
- 「危ないかな?」と思う情報を見たら、必ずお家の人に教えてくれる。
- 自分や友達の個人情報(学校の名前、住所、顔写真など)がわかるような内容は、インターネットに書き込まない・載せない。
- もし間違って変な情報を見てしまっても、慌てずに相談する。怒ったりしないから大丈夫だよ、と伝える。
- これらのルールは、一方的に親が決めるのではなく、お子さんの意見も聞きながら、「一緒に」作る姿勢が大切です。
- どんな情報に注意すべきかを話し合った上で、具体的な行動のルールを決めます。例えば、下記のようなルールが考えられます。
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フィルタリング機能なども活用する(必要な場合)
- スマートフォンには、子供にとって不適切な情報を表示させないようにする「フィルタリング機能」があります。こういった機能は、ルールと併用することで、うっかり危険な情報に触れてしまうリスクを減らす助けになります。
- お子さんの年齢や使い方に合わせて、活用を検討してみましょう。設定方法が分からなければ、携帯電話会社のショップなどで相談することもできます。
もし子供が危険な情報に触れてしまったら?
どんなに注意していても、子供が意図せず危険な情報に触れてしまう可能性はゼロではありません。もし、お子さんが「怖いものを見ちゃった」「変なメッセージが来た」と相談してくれたら、まずは落ち着いて対応することが大切です。
- お子さんを責めたり、感情的に怒ったりしないように心がけましょう。「教えてくれてありがとう。大丈夫だよ」と、安心させてあげてください。
- どんな情報だったのか、何があったのかを、お子さんのペースでゆっくりと聞いてあげましょう。
- 必要であれば、その情報が表示された画面を閉じたり、ブロックしたりするなどの対応を一緒に行います。
- もし、それが事件やトラブルにつながる可能性がある場合は、警察や、インターネットに関する相談窓口(「#9110」番の警察相談専用電話や、各都道府県にあるサイバー犯罪相談窓口など)に相談することも検討してください。
まとめ
SNSに存在する危険な情報について知ることは、お子さんを予期せぬトラブルから守るための大切な一歩です。
この記事でご紹介したように、インターネットには注意が必要な情報があることを理解し、ご家庭でお子さんと「どんな情報に気をつけようか」「もし怖いものを見たらどうしよう」といった具体的なルールを一緒に作っていくことが、安心なSNS利用につながります。
ルールは一度作って終わりではありません。お子さんの成長や、新しく使うようになるSNSによって、見直していくことも大切です。ぜひ、お子さんと一緒に、安全で楽しいSNSの使い方を考えてみてください。