【これで安心】子供のSNSアカウント乗っ取り・なりすまし、なぜ危険?防ぐルール作り
お子さんがSNSを使い始めると、楽しいことだけでなく、さまざまな心配事も出てくるかと思います。「アカウントが乗っ取られた」「なりすまされた」といった言葉を耳にすることもあるかもしれません。ITにあまり詳しくない方にとっては、これが具体的に何を意味するのか、そして自分の子供に何が起こる可能性があるのかが見えにくく、漠然とした不安を感じることもあるのではないでしょうか。
この不安を解消するためには、まず、アカウントの乗っ取りやなりすましがなぜ危険なのかを知ることが大切です。そして、その危険からお子さんを守るために、家庭でどのような対策ができるのかを具体的なステップで確認し、ルールとして決めておくことが安心につながります。
この記事では、お子さんのSNSアカウントが乗っ取られたり、なりすまされたりした場合に起こりうる危険について、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。そして、ご家庭でできる具体的な予防策や、もしもの時のために準備しておきたいことについてご紹介します。
アカウントの乗っ取り・なりすましで、なぜ危険なことが起こるの?
「アカウントの乗っ取り」とは、お子さん本人ではない誰かが、勝手にお子さんのSNSにログインして使えるようにしてしまうことです。「なりすまし」は、その乗っ取ったアカウントを使って、まるで本人のようにふるまう行為です。
これがなぜ危険かというと、次のような困ったことがお子さんやその周りの人に起こる可能性があるためです。
- 勝手な投稿やメッセージの送信: 犯罪に関わるような内容や、周りの人を傷つけるようなひどい言葉、あるいは全く関係のない広告などを、お子さんの名前で勝手に投稿されてしまうことがあります。お子さんの友達や知人は、その投稿がお子さん本人のものだと思ってしまい、トラブルに巻き込まれる可能性があります。
- 友達とのトラブル: お子さんのアカウントから友達に失礼なメッセージを送ったり、だましたりするような行為が行われることもあります。これが原因で、大切なお友達との関係が悪くなってしまうかもしれません。
- 個人情報が知られてしまう: アカウントに登録している電話番号やメールアドレス、誕生日などの個人的な情報が、悪いことをする人に知られてしまう危険があります。また、過去の投稿や友達とのやり取りから、住んでいる場所や学校、家族のことなどが推測されてしまうこともあります。
- お金のトラブルに巻き込まれる: 乗っ取ったアカウントを使って、お子さんの友達にお金をだまし取ろうとしたり、有料のサービスを勝手に利用されたりする危険もあります。
- 犯罪に利用される: 最も怖いケースでは、お子さんのアカウントが犯罪の連絡手段に使われたり、違法な情報のやり取りに使われたりすることがあります。
このように、アカウントの乗っ取りやなりすましは、お子さん自身が被害に遭うだけでなく、周りの人にも迷惑をかけたり、社会的な信頼を失ったりする可能性がある、非常に深刻な問題です。
どうしてアカウントの乗っ取り・なりすましは起こるの?
アカウントが乗っ取られてしまう原因はいくつか考えられます。多くの場合、いくつかの原因が重なって起きてしまいます。
- パスワードが簡単に推測できる: 誕生日や名前、電話番号の下4桁など、簡単に推測できるパスワードを使っていると、悪い人にすぐに見破られてしまいます。
- 色々なサービスで同じパスワードを使っている: たとえばSNSもメールも、お買い物のサイトも、すべて同じパスワードを使っているとします。どこか一つのサービスからパスワードが漏れてしまうと、他のすべてのサービスにも同じパスワードでログインされてしまう危険が高まります。
- 怪しいメッセージやリンクを開いてしまう: SNSやメールで送られてきた、知らない人からのメッセージや、何かを「プレゼントします」といった怪しい誘いのリンクをクリックすると、偽物のログイン画面に誘導されたり、ウイルスのようなものが仕掛けられたりすることがあります。そこでアカウント情報を入力してしまうと、情報が盗まれてしまいます。
- 個人情報を公開しすぎる: SNSのプロフィールに詳しい個人情報を載せすぎたり、日々の投稿で行動パターンが分かってしまったりすると、それがパスワードを推測するヒントになったり、なりすましをより巧妙にするための情報源になったりします。
家庭でできる『防ぐ』ためのルール作りステップ
アカウントの乗っ取りやなりすましを防ぐためには、日ごろからの備えと、お子さんと一緒に考えるルール作りがとても大切です。具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:なぜ対策が必要か、親子で話し合う
まずはお子さんと一緒に、先ほど説明したような乗っ取りやなりすましの危険性について、お子さんが理解できる言葉で話してみましょう。「もし、あなたのSNSで変な投稿をされたら、友達はどう思うかな?」「あなたの名前で誰かを傷つけるようなメッセージを送られたら、どう感じるかな?」など、自分やお友達に起こる可能性があることとして伝えると、お子さんも真剣に考えてくれるきっかけになります。
ステップ2:パスワードの決め方・管理ルールを決める
パスワードは、アカウントを守る「鍵」です。この鍵が簡単に見破られたり、盗まれたりしないように、ルールを決めましょう。
- パスワードの決め方:
- お子さんの名前や誕生日など、他人にも分かりやすいものは絶対に避けること。
- アルファベットだけでなく、数字や記号(
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など)も組み合わせて、複雑にするよう心がけること。 - 文字数は、できるだけ長く(できれば8文字以上、可能なら10文字以上)すること。
- パスワードの管理:
- 色々なSNSやサービスで、すべて同じパスワードを使うのは避けること。サービスごとに違うパスワードにするのが最も安全です。
- パスワードをメモする場合は、他人に見られない安全な場所に保管すること。スマートフォンのメモ機能などは、万が一スマホを紛失した場合のリスクを考える必要があるかもしれません。信頼できるパスワード管理アプリを使う方法もありますが、まずは「使い回しをしない」「簡単なパスワードにしない」ことから始めましょう。
ステップ3:怪しい情報への注意ルールを決める
インターネット上には、アカウント情報をだまし取ろうとする悪い人たちが潜んでいます。そういった危険から身を守るためのルールです。
- 知らない人からのメッセージ: 知らない人からのメッセージや、SNSの友達であってもいつもと違う様子のメッセージには注意が必要なことを教えましょう。「おかしいな」と感じたら、すぐに開かない、返事をしないことを徹底します。
- 怪しいリンクやファイル: 「限定プレゼント」「あなたの情報が漏れています」「当選しました」といった、急かしたり不安をあおったりするようなメッセージに含まれるリンクは、安易にクリックしないことをルールにしましょう。どうしても気になる場合は、一度立ち止まり、本当に信頼できる情報源からのメッセージなのかどうかを確認する習慣をつけることが大切です。
- 偽サイトへの注意: 本物のSNSの画面とそっくりな偽物のサイトに誘導されて、そこでログイン情報を入力してしまうことがあります。お気に入り登録からアクセスしたり、SNSの公式アプリを使ったりするなど、正しい方法でログインすることを教えましょう。
ステップ4:個人情報の公開範囲ルールを決める
SNSでの個人情報の公開範囲についても、お子さんと話し合って決めましょう。
- プロフィールの設定: 自分の名前や誕生日、学校名や住んでいる場所など、個人的な情報は安易に公開しない設定になっているか確認しましょう。
- 投稿内容の注意: 写真に家の周りの景色が写り込んでいないか、制服から学校が特定できないか、など、投稿する内容から個人情報が特定されてしまわないように注意することをルールにします。
ステップ5:アカウントの二段階認証を設定する
これは少し技術的な響きがありますが、難しくありません。多くのSNSには「二段階認証」という、アカウントをより安全に守るための仕組みがあります。パスワードでログインしようとした時に、パスワードだけでなく、スマートフォンに届く特別な数字(コード)を入力したり、別のアプリで認証したりすることで、本人確認をより確実にする仕組みです。
パスワードが万が一知られてしまっても、この二段階認証を設定しておけば、別の要素がないとログインできないため、乗っ取られる危険性がぐっと低くなります。設定方法はSNSによって異なりますが、多くの場合、設定メニューの中から見つけることができます。もし難しければ、一緒に操作してみたり、SNSのヘルプページを見てみたりしてください。この設定を「必ず行う」というルールにするのは非常に効果的です。
ステップ6:もしもの時のための準備をする
どんなに気をつけていても、残念ながらトラブルに巻き込まれる可能性はゼロではありません。もしもの時に慌てないよう、準備をしておきましょう。
- 相談できる相手を決める: もし「何かおかしいな」「アカウントがおかしいかも」と感じたら、誰に相談するかを決めておきましょう。まずは保護者、あるいは信頼できる学校の先生など、子供が一人で抱え込まずに相談できる相手を明確にしておくことが大切です。
- SNS運営への報告方法を確認する: 万が一、アカウントが乗っ取られたり、なりすまされたりした場合、SNSの運営会社に報告して対応してもらう必要があります。どのような手順で報告すれば良いのかを、SNSのヘルプページなどで確認しておくと安心です。
もし、万が一そうなってしまったら? 落ち着いて対応する
もし、お子さんのSNSアカウントが乗っ取られたり、なりすまされたりした兆候に気づいたら、まずは落ち着いて対応することが大切です。
- 状況を確認する: どのようなことが起きているのか(勝手に投稿されている、パスワードが変わってログインできないなど)を正確に把握します。
- パスワードを変更する: もしログインできる状態であれば、すぐにパスワードを変更します。他のサービスで同じパスワードを使っている場合は、そちらのパスワードも全て変更します。
- 二段階認証を設定する: 可能であれば、この時点で二段階認証を設定します。
- SNS運営に報告する: SNSのヘルプセンターなどから、アカウントが乗っ取られたことを報告し、指示に従います。
- 関係者に連絡する: アカウントを悪用して、お子さんの友達などに連絡が取られている可能性がある場合は、注意を呼びかける連絡を入れましょう。
- 必要であれば専門機関に相談する: 被害が大きい場合や、お金のトラブルに発展している場合、あるいはどう対応していいか全く分からない場合は、警察のサイバー犯罪相談窓口や消費生活センターなど、専門の機関に相談することも検討してください。
まとめ:家庭での話し合いが安心につながる
お子さんのSNSアカウントの乗っ取りやなりすましは、誰にでも起こりうる危険性です。ITに詳しくないと感じていても、ご紹介したような危険性を知り、基本的な対策を家庭で一緒に話し合い、ルールとして決めておくことで、お子さんを大きなトラブルから守ることができます。
パスワードのこと、怪しい情報のこと、個人情報の公開範囲のこと、そしてもしもの時の相談先のこと。これらを一度に完璧に決めるのは難しいかもしれません。まずは一つずつ、お子さんのSNSの使い方を見ながら、話し合いを重ねてみてください。家庭でのオープンな対話が、お子さんがSNSを安心安全に利用するための何よりの土台となります。この記事が、その一助となれば幸いです。