これで安心!SNSで子供の写真・動画を守るルール:悪用を防ぐ家庭での決め方ステップ
お子さんがSNSを利用し始めると、日常の出来事や楽しかったことなどを写真や動画で共有したい、と思うことがあるかもしれません。保護者の方にとっては、お子さんが楽しんでいる様子を見るのは嬉しい反面、「知らないところで、うちの子の写真が誰かに使われたらどうしよう…」「悪用されたら怖いな…」と不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インターネット上では、一度公開された写真や動画が、思わぬ形で拡散されたり、全く関係のない人に勝手に使われたりする可能性があります。しかし、必要以上に怖がるのではなく、こうしたリスクを知り、家庭でしっかりとルールを決めておくことで、安心してSNSを利用することができます。
この記事では、お子さんの写真や動画がSNSで勝手に使われることのリスクと、それを防ぐためにご家庭でどのようなルールを決めたら良いのかを、具体的なステップでご紹介します。
なぜ危険なの? 写真や動画が勝手に使われるリスクを知る
お子さんがSNSに投稿した写真や動画が「勝手に使われる」というのは、例えば以下のような状況です。
- 知らない人がダウンロードして、自分のアカウントで再投稿する:お子さんが写っている写真や動画が、全く知らない人のSNSやブログなどに、あたかもその人のものであるかのように投稿されてしまうことがあります。
- 加工されて、意図しない内容に変わってしまう:投稿した写真や動画が悪意を持って加工され、事実と異なる情報と結びつけられたり、お子さんやご家族を傷つけるような内容に変わってしまったりする危険があります。
- 個人を特定する手がかりにされる:写真に写り込んだ背景(風景、建物、学校名が入った制服、自宅の周りの様子など)や、動画の中の声、持ち物などから、お子さんの普段の居場所や通っている学校、さらには名前などの個人情報が特定されてしまうことがあります。特定された情報が、つきまといや詐欺、いじめなどに悪用される可能性も考えられます。
- なりすましに使われる:お子さんの写真が、第三者によるSNSの「なりすまし」アカウントのプロフィール画像などに使われてしまうことがあります。
これらのリスクは、お子さんのプライバシーを侵害するだけでなく、精神的なショックを与えたり、実際の危険につながったりする可能性があるため、注意が必要です。一度インターネット上に公開された情報は、完全に削除することが非常に難しいという特性も理解しておくことが大切です。
どうすれば守れるの? 家庭でできる具体的なルール作りステップ
お子さんの写真や動画をインターネット上の危険から守るためには、ご家庭で投稿に関するルールを具体的に決めることが有効です。お子さんと一緒に話し合いながら進めることで、お子さん自身も納得しやすくなります。
ステップ1:リスクについて親子で話し合う
まず、先ほどご紹介したような「写真や動画が勝手に使われると、どんな困ったことが起こる可能性があるか」を、お子さんにも分かりやすい言葉で説明しましょう。
例えば、「この写真、もし学校の友達じゃない、全然知らない人が見たらどう思うかな?」「この動画、もし変な内容に加工されて、色々な人が見たらどうなるかな?」のように、お子さんが自分事として考えられるような問いかけをしてみるのも良い方法です。
専門用語を使う必要はありません。「自分が写っている写真や動画は、みんなに見せても大丈夫か、見せたくないか、自分で決められる大切なものだよ」というように、お子さんの「大切なもの」を守るためのルールであることを伝えましょう。
ステップ2:投稿する写真・動画を決めるルール
「どんな写真や動画ならSNSに載せてOKか、どんなものはNGか」を具体的にリストアップするように決めましょう。
投稿を避けた方が良いもの(NG例):
- お子さん自身の顔がはっきり分かる写真や動画:特に、一人で写っているものや、個人が特定されやすい場所で撮ったもの。
- 学校に関わるもの:制服姿、学校名が分かる建物や校章、テストの答案など。
- 自宅や普段よく行く場所が特定できるもの:家の外観、表札、窓からの風景、近所の特徴的な建物やお店、いつも遊んでいる公園など。
- 個人情報が写り込んでいるもの:名前や住所が書かれた郵便物、保険証や診察券、学校の配布物、通知表など。
- お子さん以外の人(友達、家族など)が写っているもの:他の人が写っている写真や動画を投稿する際には、必ず本人の許可が必要なルールにしましょう。「友達の顔は隠す」など、具体的な対応を決めることも大切です。
- 持ち物や趣味から個人が特定されそうなもの:名前入りの持ち物、習い事のユニフォームなど。
投稿しても比較的安心なもの(OK例の考え方):
- 風景や物だけを写したもの(場所が特定されない範囲で)
- ペットや動物
- 自分で描いた絵や作った工作
- 顔が分からないように撮影されたもの(後ろ姿、手元だけなど)
- スタンプやモザイクで顔を隠したもの
ご家庭やお子さんの状況に合わせて、これらを参考に具体的に「これは良い」「これはダメ」を決めてリストにしておくと、お子さんも分かりやすくなります。
ステップ3:誰が見られるか(公開範囲)を決めるルール
SNSアプリには、投稿した写真や動画を「誰に見せるか」を設定できる機能があります。これを「公開範囲」といいます。
- 全体に公開:インターネット上の誰でも、アプリを使っているかどうかにかかわらず見られる可能性があります。
- 友達だけ:SNSで「友達」としてつながっている人だけが見られます。
- 特定の人だけ:自分で選んだ数人の友達だけに見せることができます。
お子さんの写真や動画については、「友達だけ」や「特定の人だけ」など、信頼できる限られた人だけが見られるように設定することをおすすめします。そして、その公開範囲設定が正しくできているかを、親御さんが一緒に確認するルールにしましょう。設定方法が分からなければ、お子さんと一緒に調べてみるのも良い経験になります。
ステップ4:投稿する前に「これで本当に大丈夫?」と立ち止まる習慣をつける
ルールを決めたら、お子さんが実際に写真や動画を投稿しようとする時に、一度立ち止まって「決めたルールに合っているかな?」「誰かに見られて困ることはないかな?」と考える習慣をつけることが大切です。
投稿ボタンを押す前に、親御さんに「これ、載せても良い?」と確認するルールにするのも一つの方法です。すぐに確認できない場合でも、「投稿する前に、もう一度よく見て考えてみようね」と声かけを続けることで、お子さんの中に確認する意識が芽生えます。
もしも、勝手に使われてしまったら?
万が一、お子さんの写真や動画が勝手に使われているのを見つけたり、お子さんから相談を受けたりした場合でも、慌てずに冷静に対応することが大切です。
- 証拠を残す:勝手に使われている画面を写真に撮る(スクリーンショットを撮る)などして、証拠を保存しておきましょう。
- SNSの運営に報告する:ほとんどのSNSには、ルール違反の投稿を報告する機能があります。「他人の写真・動画の無断利用」として運営に報告し、削除を依頼します。
- 親や信頼できる大人に相談する:お子さんが一人で悩まず、必ず親御さんや学校の先生など、信頼できる大人に相談できるという約束をしておきましょう。
残念ながら、一度インターネット上に出てしまった情報を完全に消し去るのは難しい場合が多いですが、適切な対応をとることで、それ以上の拡散や被害を防ぐことができる可能性が高まります。
まとめ
お子さんがSNSに写真や動画を投稿することは、思い出を共有したり、楽しい気持ちを表現したりする大切な方法です。しかし、同時に意図しないリスクがあることも事実です。
今回ご紹介したように、ご家庭で具体的なルールを決め、お子さんと一緒にリスクや対策について話し合うことで、こうした危険からお子さんを守ることができます。
写真や動画のルールは、お子さんのプライバシーを守り、将来にわたって安心してインターネットを使うための大切な一歩です。完璧を目指す必要はありません。まずはできることから、お子さんと一緒に話し合って、ご家庭に合った無理のないルールを作ってみてください。
もし、ルール作りで悩んだり、お子さんのSNS利用について心配なことがあったりしたら、一人で抱え込まず、身近な人や専門機関に相談することも考えてみましょう。