【これで安心】家庭のSNSルール、子供が守らない時どうする?原因を探る家庭でのステップ
せっかく時間を作って、お子さんと一緒に話し合い、家庭でのSNS利用ルールを決めたにも関わらず、どうもルールが守られていないようだ、と感じていらっしゃる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
「うちの子、どうして約束を守ってくれないのだろう…」 「厳しく言っても聞かないし、もうどうしたらいいか分からない…」
このように、不安になったり、がっかりしたり、時にはお子さんに怒りを感じてしまったりすることもあるかもしれません。
しかし、ルールが守られていないことは、決してルール作りそのものが失敗だったということではありません。お子さんがルールを守れないのには、いくつかの理由が考えられます。そして、その理由を一緒に探り、家庭に合った方法で対応していくことで、ルールをより良いものに育てていくことができます。
この記事では、なぜお子さんがSNSルールを守れないことがあるのか、その考えられる原因と、保護者の方が原因を探るために家庭でできる具体的なステップ、そして原因に合わせた対応方法について、分かりやすくお伝えします。
なぜ子供はSNSルールを守れないのか?考えられるいくつかの原因
お子さんがSNSルールを守れない時、その原因は一つだけとは限りません。お子さんの年齢や性格、SNSの利用状況、ご家庭の状況など、様々な要因が絡み合っている可能性があります。頭ごなしに「どうして守らないの!」と叱る前に、まずはどんな原因が考えられるのか、お子さんの視点になって一緒に考えてみましょう。
考えられる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
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ルールを忘れている、覚えていない: 一生懸命ルールを決めたつもりでも、時間が経つと内容をぼんやりとしか覚えていなかったり、忙しい日常の中でうっかり忘れてしまったりすることがあります。作ったルールがどこかにしまわれたまま、見返す機会がない場合などもこれにあたります。
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ルールを理解していない、納得していない: ルールを決める時に、お子さんが内容を十分に理解できていなかったり、「なぜこのルールが必要なのか」という理由に納得できていなかったりすると、守る気持ちになりにくいものです。保護者の方が一方的に決めてしまったルールや、お子さんの意見が反映されていないルールも、守られにくくなることがあります。
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ルールが厳しすぎる、現実的でない: 保護者の方の心配する気持ちから、お子さんの現状や友達との関わり方、学校で流行していることなどに合わない、あまりにも厳しいルールになってしまっている場合も、守り続けるのが難しくなります。例えば、友達との連絡にSNSが必須になっているのに、利用時間を極端に制限されている、などです。
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「つい」やってしまう、誘惑に負けてしまう: SNSはとても魅力的で、新しい情報や友達とのやり取りなど、楽しいことがたくさんあります。お子さんにとって、目の前にある「楽しい」や「気になる」という気持ちを自分で抑え込むことは、大人が想像する以上に難しい場合があります。「少しだけならいいか」「みんなもやっているし」と、ついルールを破ってしまうことがあります。
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保護者がルールを気にしていない、チェックしていないと感じている: ルールを作った後、保護者の方が全くその話題に触れなかったり、お子さんがルールを守れているか気にかけている様子がなかったりすると、お子さんは「保護者はもうこのルールを気にしていないんだ」と感じてしまい、守る意識が薄れてしまうことがあります。
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ルール自体を知らないふりをしている、保護者に反抗したい気持ちがある: 特に思春期のお子さんの場合、保護者の言うことに反抗したい気持ちから、わざとルールを破るような態度をとることがあります。これは、自立したいという気持ちの表れの一つである場合もあります。また、ルールを破ったことを隠そうとする場合もあります。
これらの原因は、お子さんの発達段階や個別の状況によって異なります。大切なのは、「うちの子はルールを守らない子だ」と決めつけるのではなく、「何か守れない理由があるのかもしれない」と考えてみることです。
原因を探るための「声かけ」と「観察」:家庭でできる具体的なステップ
お子さんがSNSルールを守れていない様子を見かけたら、まずは落ち着いて、原因を探るための行動をしてみましょう。感情的に問い詰めたり、頭ごなしに叱ったりするのではなく、お子さんの状況を理解しようという姿勢が大切です。
ここでは、原因を探るための具体的な「声かけ」と「観察」のステップをご紹介します。
ステップ1:まずは落ち着いて、お子さんに「声かけ」をしてみる
ルールを破っている場面を見たり、破った形跡に気づいたりしても、すぐに怒るのではなく、少し時間をおいてから声をかけてみましょう。お子さんがリラックスしている時や、何か別のことをしている時に話しかけるのがおすすめです。
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心配している気持ちを伝える: 「この間、夜遅くまでSNSを使っていたみたいだけど、何かあったの?」 「〇〇っていうルール、ちょっと守れていないかな、と思って。何か理由があるのかな?」 責めるような口調ではなく、「心配しているよ」「どうしたのかな」という、お子さんの状況を気にかける優しいトーンで話しかけてみましょう。
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お子さんの状況を聞く姿勢を示す: 「ルールを守るのが難しかった?」 「友達とのやり取りで、何か困ったことでもあるの?」 「そのルール、うちの家庭には合わなくなってきちゃったかな?」 お子さんが「話してもいいかな」と思えるように、お子さんの言葉で話してもらうことを促します。決めつけず、「どうかな?」「〜だったりする?」と選択肢を示して尋ねるのも良いでしょう。
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お子さんの話を最後まで聞く: お子さんが話し始めたら、途中で口を挟まず、まずは最後までしっかりと話を聞いてあげましょう。お子さんの言い分や感じていることを理解しようと努めることが、信頼関係を築く上で非常に大切です。お子さんの話を否定したり、すぐに解決策を押し付けたりすることは避けましょう。
ステップ2:お子さんの様子を「観察」してみる
声かけが難しい場合や、お子さんがすぐには話したがらない場合でも、日頃からお子さんの様子をよく「観察」することで、ルールを守れない原因のヒントが見つかることがあります。
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SNSを使っている時の様子: SNSを使っている時、楽しそうにしているか、焦っている様子はないか、隠れて使おうとしているかなど、表情や態度に注意してみましょう。
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ルールを破る時間帯や状況: 例えば、いつも夜遅くにSNSを使っているのか、特定の友達とやり取りしている時にルールを破りがちなのかなど、ルールを破る「タイミング」や「状況」に何かパターンがないか見てみましょう。
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ルールを破った後の行動: ルールを破った後、そわそわしているか、隠そうとするか、特に気にしていない様子かなど、お子さんの反応も観察のポイントです。
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SNS以外の日常生活での変化: SNS以外にも、お子さんが何か悩みを抱えていないか、友達関係で何か変化がないかなど、普段の様子全体にも気を配ってみましょう。SNSでの問題は、他のことと繋がっている場合もあります。
声かけと観察を通して、「もしかしたら、ルールが難しすぎるのかもしれない」「友達との間で困っていることがあるのかな」など、いくつか原因の候補が見えてくることがあります。焦らず、時間をかけてお子さんの声や様子に耳を傾けてみてください。
原因に合わせた具体的な対策ステップ:ルールを「育てる」視点を持つ
原因が見えてきたら、次はその原因に合わせた具体的な対策を考えていきましょう。ルールが守られていないのは、お子さんを責めるのではなく、ルールや家庭での関わり方を見直す良い機会と捉えることが大切です。
原因が「ルールを忘れている、覚えていない」場合:ルールの「見える化」と定期的な確認
- 対策:
- ルールを「見える化」する: 紙に書いてお子さんの部屋やリビングなど、家族みんながよく目にする場所に貼っておきましょう。難しければ、保護者の方のスマホのメモ機能などに入れておき、いつでも見返せるようにしておくのも良い方法です。
- 定期的に確認する時間を作る: 週に一度など、短い時間でも良いので、家族みんなでルールを見返す時間を作りましょう。「ルール、守れてるかな?」「何か困ったことはない?」と声をかけ、ルールを意識する機会を定期的に持ちます。
原因が「ルールを理解していない、納得していない」場合:ルールを「一緒に」見直す
- 対策:
- 理由を改めて説明する: なぜそのルールが必要なのか、背景にある危険性や心配事などを、お子さんにも分かりやすい言葉で、具体的に説明し直しましょう。「知らない人と連絡をとると、こんな危険があるかもしれない」「夜遅くまでSNSをすると、次の日の勉強や体にこんな影響があるから、早く寝ようね」など、お子さん自身が納得できる理由を丁寧に伝え直すことが大切です。
- お子さんの意見を聞きながら調整する: お子さんが「このルールは厳しいな」「こういう時はどうしたらいいの?」と感じている点を改めて聞き、可能な範囲でルールを調整できないか話し合いましょう。少しルールを緩和することで、かえって守りやすくなることもあります。ルールが「保護者から与えられたもの」ではなく、「家族みんなで決めた、自分たちを守るためのもの」という意識をお子さんと共有できるようにしましょう。
原因が「ルールが厳しすぎる、現実的でない」場合:ルールを「現実的」に調整する
- 対策:
- お子さんの現状に合わせてルールを見直す: お子さんの年齢が上がったり、友達との関わり方が変化したりした場合は、それに合わせてルールも柔軟に見直しましょう。友達との連絡にSNSがどうしても必要な場合は、利用時間や方法について、お子さんの意見も聞きながら、無理のない範囲で調整を検討します。ただし、安全に関わる譲れない部分は、その理由をしっかり説明し、理解を求めます。
- 段階的な目標にする: 一度に全てのルールを守るのが難しい場合は、「まずはこのルールから頑張ってみよう」「これが守れたら、次はこれに挑戦しよう」と、段階的な目標を設定するのも良い方法です。
原因が「ついやってしまう、誘惑に負けてしまう」場合:守りやすい環境を作る、別の楽しみを見つける
- 対策:
- テクノロジーの力を借りる: スマートフォンの設定で特定のアプリの利用時間を制限したり(スクリーンタイムなど)、フィルタリング機能やペアレンタルコントロール機能を使って、使いすぎを防ぐ工夫をすることも有効です。具体的な設定方法は、お使いの機器やサービスの提供元によって異なりますが、お子さんの状況に合わせて活用を検討してみましょう。(※フィルタリングやペアレンタルコントロールについては、別の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。)
- 時間や場所を決める工夫: 「夜9時以降はスマホをリビングに置く」「食事中はSNSを見ない」など、時間や場所で区切りを設けることも、お子さんが自分でコントロールしやすくなる助けになります。
- SNS以外の楽しみを増やす: お子さんがSNS以外に夢中になれること(スポーツ、趣味、家族との時間など)を一緒に見つけたり、応援したりすることも大切です。SNS以外の楽しみが増えることで、自然とSNSに触れる時間が減る場合もあります。
原因が「保護者が無関心だと感じている」場合:保護者もSNSに関心を持つ、積極的に声をかける
- 対策:
- 保護者もSNSについて学ぶ: お子さんが使っているSNSがどんなものか、どんな機能があるのかなど、保護者の方も少し関心を持って学んでみましょう。お子さんと同じ目線に立とうとする姿勢は、お子さんにとって大きな安心感につながります。
- 日常会話でSNSの話題を取り入れる: 「最近、SNSで何か面白いことあった?」「困ったこととかない?」など、日常会話の中で自然にSNSの話題を取り入れてみましょう。お子さんが困った時に「保護者に話しても大丈夫だ」と思えるような関係性を日頃から築いておくことが大切です。
- ルールを守れた時に褒める: ルールをしっかり守れている時は、「ルールを守ってくれてありがとう。助かるよ」「自分で時間を決めて使えていてすごいね」など、具体的な行動を褒めてあげましょう。肯定的な関わりは、お子さんの自信と、ルールを守ろうという意欲につながります。
原因が「ルール自体を知らないふりをしている、反抗したい気持ちがある」場合:子供の気持ちに寄り添い、信頼関係を大切にする
- 対策:
- 思春期特有の心理を理解する: 思春期は、お子さんが心と体が大きく成長し、自立しようとする大切な時期です。保護者への反抗的な態度も、その過程で起こりうることだと理解しましょう。感情的にぶつかるのではなく、少し距離をとって見守ることも必要な場合があります。
- ルールの前に信頼関係を: ルールを完璧に守らせることよりも、まずは親子間の信頼関係を維持することを最優先に考えましょう。「いつでもあなたの味方だよ」「困ったことがあったら、いつでも話を聞くよ」というメッセージを、日頃から伝え続けることが大切です。信頼関係があれば、お子さんが本当に困った時に、必ず保護者を頼ってくれるはずです。
まとめ:ルールは「完成」させるものではなく、「育てる」もの
家庭でのSNSルールは、一度決めたら終わり、ではありません。お子さんの成長やSNSの進化、家庭の状況の変化に合わせて、何度でも見直し、調整していく「育てる」ものだと考えてみましょう。
お子さんがルールを守れない時も、「どうして?」と原因を探り、一緒に対策を考えるプロセスは、お子さんが自分で考え、困難を乗り越える力を育む貴重な機会でもあります。そして何より、このプロセスを通して、お子さんとのコミュニケーションが深まり、信頼関係が築かれていくことが、SNSの危険からお子さんを守る一番の力になります。
完璧なルールを目指すのではなく、「うちの家族にとって、今一番大切にしたいことは何か?」を話し合いながら、お子さんと一緒に少しずつ、より良いルールと関わり方を模索していきましょう。もし、お子さんとの話し合いが難しい、どうにもうまくいかないと感じる場合は、学校の先生や専門機関など、外部の力を借りることも考えてみてください。一人で抱え込まず、様々な方法を試しながら、お子さんのSNS利用と上手に付き合っていく道を、ぜひ見つけてください。