子供のSNS『リアルな友達関係』守るルール:話し合いと決め方ステップ
お子さんのSNS利用が始まり、「インターネット上でのやり取りが、もしかしたら学校での友達関係にも影響するのでは…?」と、漠然とした不安を感じていらっしゃる保護者の方も少なくないかもしれません。
SNSは、友達と手軽に連絡を取り合ったり、共通の話題で盛り上がったりできる便利なツールです。しかし、使い方によっては、思わぬ形でリアルな人間関係にひびが入るきっかけになってしまうこともあります。
この記事では、SNSが子供たちのリアルな友達関係にどのような影響を与える可能性があるのかをご説明し、お子さんが健やかな友達関係を保ちながらSNSを利用できるよう、家庭でどのようなルールを考え、お子さんとどのように話し合えば良いのか、具体的なステップをご紹介します。
なぜSNSがリアルな友達関係に影響するのか
インターネット上でのコミュニケーションは、対面での会話とは異なる特徴があります。この違いを知っておくことが、トラブルを防ぐための第一歩となります。
- 文字だけのやり取りによる誤解: 顔が見えない、声が聞こえない文字だけのやり取りでは、気持ちや意図が伝わりにくく、誤解が生じやすい場合があります。例えば、冗談のつもりでも相手にはきつい言葉に聞こえてしまったり、すぐに返信しないことで「無視された」と感じさせてしまったりすることがあります。
- 情報伝達の速さと広がり: SNSでのやり取りは瞬く間に広がり、多くの人の目に触れる可能性があります。特定の友達に関するプライベートな情報や、誰かに対する批判的な言葉などが、意図しない範囲に伝わってしまい、大きなトラブルにつながることがあります。
- 「見えない」場所でのやり取り: グループチャットなど、特定の友達間だけで交わされるやり取りは、保護者の方からは見えにくい場所で行われます。そこで仲間外れのようなやり取りがあったり、特定の誰かの悪口が交わされたりすることが、リアルな友達関係にも影響を及ぼすことがあります。
- オンラインでの振る舞いがリアルに影響: SNS上での言葉遣いや態度が、そのままお子さんのイメージにつながり、学校での友達からの見られ方にも影響を与えることがあります。
これらの影響を理解することで、どのような点に注意してルールを作れば良いのかが見えてきます。
リアルな友達関係を守るためのSNSルール:話し合いのポイント
お子さんが友達と良い関係を保ちながらSNSを利用できるよう、家庭で話し合い、ルールを決める際の具体的なポイントをご紹介します。一方的にルールを押し付けるのではなく、お子さんと一緒に考えることが大切です。
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「相手の気持ちを想像する」ことの大切さを話す
- SNSに何かを書き込む前に、「この言葉を言われたら、友達はどんな気持ちになるかな?」と一緒に考えてみましょう。文字だけだと冷たく聞こえてしまうことがあること、自分の気持ちが正確に伝わらない可能性があることを、具体的な例を挙げて話してみてください。
- 例えば、「ありがとう」と書くだけでなく、絵文字などを加えると気持ちが伝わりやすい、といった具体的な工夫を提案するのも良いでしょう。
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「プライベートな情報」の取り扱いのルールを決める
- 友達やクラスメイトの顔が写っている写真、名前、学校名、住所など、個人が特定できるような情報や、友達のプライベートなできごと(どこに行った、何を買ったなど)を、本人や保護者の許可なくSNSに投稿したり、他の友達に勝手に教えたりしない、というルールは非常に重要です。
- 「自分がされて嫌なことは、友達にもしない」という基本的な考え方を伝えてください。
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「言いにくいこと」や「感情的なこと」の対処法を決める
- 友達に直接言いにくい不満や悪口をSNSに書いてしまうことの危険性を話します。SNSはすぐに情報が広がり、消せなくなる可能性があることを説明します。(これは「消えない情報」に関する別の記事も参考にしてください。)
- 怒ったり、悲しんだり、感情的になっている時には、すぐにSNSに書き込むのではなく、一度時間をおいたり、親など信頼できる大人に相談したりする、というルールを決めましょう。
- グループチャットなどで、誰かの悪口や仲間外れのようなやり取りを見かけたときに、どのように対応するかも話し合っておくと安心です。「自分も一緒に悪口を言わない」「もし嫌だと感じたら、そのグループから抜けても良い」「おうちの人に相談する」など、お子さんが一人で抱え込まないためのルールを決めましょう。
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SNSでのトラブルがリアルに影響した場合の対処法を決める
- もし、SNSでのやり取りが原因で、学校での友達との関係が悪くなってしまったら、どのように解決すれば良いのかを話し合います。
- SNS上で言い争いを続けず、一度冷静になること。
- 困ったときは、担任の先生やスクールカウンセラー、そして保護者など、信頼できる大人に必ず相談に来る、という約束をすることが最も大切です。「隠さないで話してくれてありがとう」と受け止める姿勢を示すことで、お子さんは安心して相談できるようになります。
家庭での話し合いとルール決めのステップ
- お子さんのSNSでの友達関係について聞いてみる: 「最近、SNSで友達とどんな話してるの?」「何か楽しいことあった?」など、まずは軽い気持ちで聞いてみましょう。お子さんが話しやすい雰囲気を作ることから始めます。
- なぜルールが必要なのか、一緒に考える: 一方的に「これはダメ」と指示するのではなく、「SNSで誤解されちゃうと悲しい気持ちになるかもしれないね」「友達に嫌なこと言われたらどうする?」のように、お子さんの気持ちや状況を想像しながら、「どうすればみんなが気持ちよくSNSを使えるかな?」と一緒に考えてみましょう。
- 具体的なシーンを想像してみる: 「もし、友達があなたの写真を勝手にSNSに載せちゃったら、どう思う?」「もし、グループチャットで誰かが嫌なことを言っていたら?」など、具体的な場面を想像して、お子さんがどう感じるか、どうしたいかを話し合ってみましょう。
- 「〜しようね」「〜しないようにしようね」という形でルールを決める: 否定的な言葉ばかりでなく、「送る前に一度読み返そうね」「友達の許可なく写真は載せないようにしようね」「困ったことがあったら、いつでもおうちの人に話そうね」のように、分かりやすく具体的な言葉でルールをまとめます。
- 決めたルールを書き出して「見える化」する: 話し合った内容を紙に書き出したり、家族で共有できる場所に貼ったりして、いつでも親子で見返せるようにしておきましょう。これは「家庭で決めたSNSルールを『見える化』する具体策」に関する別の記事も参考にしてください。
まとめ
SNSは、使い方次第で子供たちのリアルな友達関係をより豊かにすることも、逆に傷つけてしまうこともあります。大切なのは、お子さんがSNSの良い面を活かしながら、トラブルに巻き込まれず、友達と健全な関係を保てるようにサポートすることです。
この記事でご紹介したポイントやステップを参考に、ぜひお子さんと一緒に、家庭に合った「リアルな友達関係を守るためのSNSルール」について話し合ってみてください。ルールは一度作ったら終わりではなく、お子さんの成長やSNSの使い方に合わせて、定期的に見直していくことも大切です。
もし、お子さんがSNSでの友達関係で悩んでいるようであれば、「困ったこと」を相談しやすい雰囲気を作り、「いつでも味方だよ」というメッセージを伝えることが何よりも重要です。一人で悩まず、一緒に解決策を探していく姿勢を見せていきましょう。