【これで安心】子供のSNS『ライブ配信』『ストーリーズ』どうする? 知っておきたいリスクと家庭ルールの作り方
お子さんがスマートフォンを持ち始めると、SNSを利用する機会も増えてきます。最近のSNSには、撮った写真や動画を一時的に共有する「ストーリーズ」や、リアルタイムで動画を配信する「ライブ配信」といった機能があります。
このような新しい機能について、「うちの子が使い始めたらしいけど、一体どんなものなの?」「何か危険なことはないの?」と不安に感じている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この機能は、お子さんにとって友達と楽しく交流する手段の一つになるかもしれませんが、使い方によっては思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
この記事では、ITが苦手な方でもご理解いただけるよう、ライブ配信やストーリーズがどのような機能で、なぜ家庭でルール作りが必要なのか、そしてどのようにルールを作っていけばよいのかを、平易な言葉で具体的にご説明します。
SNSの「ライブ配信」「ストーリーズ」とは何ですか?
まず、これらの機能について簡単にご説明します。
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ストーリーズ: 多くのSNSアプリにある機能で、写真や短い動画、文字などを投稿できます。大きな特徴は、投稿したものが「だいたい24時間で自動的に消える」ということです。この「消える」という手軽さから、お子さんたちの間で人気があります。友達に「今、何してるよ」「こんなの見つけたよ」といった日常を気軽に伝えるために使われます。
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ライブ配信: これも多くのSNSアプリにある機能です。これは「今、目の前で見ている映像をリアルタイムでインターネットを通して流す」というものです。テレビの生放送のようなものだと考えていただくと分かりやすいかもしれません。配信中には、見ている人からコメントが届いたり、「いいね」のような応援の気持ちを示すマークが送られてきたりします。その場で視聴者と交流しながら配信できます。
どちらの機能も、撮ったものをすぐに、そして気軽に他の人に見せられる点が共通しています。しかし、その手軽さゆえに、いくつかの注意が必要な点があります。
なぜ、保護者はこれらの機能が心配になるのでしょうか?
これらの機能を使うにあたり、保護者の方が心配されるのには理由があります。主なリスクをいくつかご紹介します。
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「今、どこにいるか」がわかってしまう: ライブ配信では、配信している場所の背景や景色、周りの音などから、お子さんが「今、どこのお店にいる」「友達の家にいる」といった場所が特定されてしまうことがあります。また、ストーリーズにうっかり自宅の近くで撮った写真などを投稿してしまうと、行動範囲が絞られてしまう可能性もあります。
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思わぬものが映り込んでしまう: 部屋の中を映したときに、個人情報が書かれた書類や、自宅の住所がわかるものが映り込んでしまうことがあります。また、家族の顔や声が許可なく世界中に配信されてしまうことも考えられます。
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不用意な発言がすぐに広まってしまう: ライブ配信はリアルタイムなので、つい調子に乗って、友達の秘密や悪口、誰かを傷つけるような発言をしてしまう危険があります。一度インターネットに出てしまった情報は、完全に消すことが難しい場合もあります。また、ストーリーズも手軽な分、深く考えずに誰かをからかうような動画を投稿してしまい、トラブルになることもあります。
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知らない人が見ていたり、コメントを送ってきたりする: 公開範囲を設定していても、予期せぬ人が見ていたり、中にはお子さんに「会いたい」「連絡先を教えて」といった危険なメッセージを送ってくる人がいる可能性もゼロではありません。ライブ配信では、そういった不適切なコメントが他の人にも見えてしまうこともあります。
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炎上やいじめにつながる可能性: 軽はずみな発言や行動が、多くの人の怒りを買ってインターネット中で非難されたり(これを「炎上」と呼ぶことがあります)、友達とのやり取りが原因でいじめに発展したりするケースも報告されています。
このように、ライブ配信やストーリーズは手軽で楽しい一方で、リアルタイム性があることや投稿がすぐに広まる可能性があること、一度出したものが完全に消えるとは限らないことなどから、特別な注意が必要になります。
家庭でライブ配信・ストーリーズのルールを作る必要性
「なんだか難しそう」「うちの子は大丈夫かしら」と思われたかもしれません。しかし、ルールを作ることは、お子さんを危険から守り、SNSを安心安全に使うための大切なステップです。
ルールは、お子さんの行動を制限するためだけにあるのではありません。むしろ、「どんなことに注意すれば、もっと安心してSNSを使えるのか」をお子さん自身が理解し、万が一困ったときに「どうすればいいか」「誰に相談すればいいか」を知っておくための道しるべとなります。
特に、ライブ配信やストーリーズのように、とっさの判断が必要になる可能性のある機能については、「こういう場合はどうする」という心の準備をしておくことが非常に大切です。
家庭でライブ配信・ストーリーズのルールを作る具体的なステップ
では、具体的にどのようにルールを作っていけばよいのでしょうか。難しく考える必要はありません。お子さんと一緒に、少しずつ進めていきましょう。
ステップ1:まずは「どんな機能か」を少し知ってみる
保護者の方が、ライブ配信やストーリーズが「どんなものか」を少しでも知っておくと、お子さんと話しやすくなります。お子さんが使っているアプリで、実際にどんな投稿が見られるのか、お子さんに教えてもらうのも良いでしょう。お子さんの使っている様子を見せてもらうことで、「あ、こういうことね」「ここは注意した方がいいかも」といった気づきがあるはずです。
ステップ2:お子さんと「なぜルールが必要か」を話し合う
いきなり「これはダメ」「あれはダメ」と禁止するのではなく、「お母さん(お父さん)は、あなたが安心してSNSを使うために、少し心配なことがあるんだ」「一緒に危ないことから身を守る方法を考えない?」といったように、心配している理由を伝えながら話し始めましょう。
お子さんが「どうして?」と聞いたら、「個人情報がバレると危ないことがあるんだよ」「知らない人が見てるかもしれないんだよ」と、ステップ3で挙げたようなリスクを、お子さんにもわかる言葉で伝えます。「あなたは、ライブ配信やストーリーズでどんなことをしたいの?」「どんなことに注意したらいいと思う?」と、お子さんの気持ちや考えを聞く姿勢も大切です。
ステップ3:具体的に「どんなルールにするか」を決める
話し合いを通して、具体的なルールを決めていきましょう。お子さんの年齢や理解度に合わせて、難しすぎない内容から始めるのが良いでしょう。いくつかルールの例をご紹介します。
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「どこから配信するか・しないか」のルール: 「自宅から配信しない」「友達の家やお店からは、必ず許可を取ってからにする」「外で撮る時は、場所が特定されるようなものが映らないように気をつける」など。
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「誰に見せるか」のルール: 「友達だけに公開する設定にする」「知らない人からのフォローやコメントは受け付けない」など。
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「どんなものを映すか・映さないか」のルール: 「自分の顔を映す時は、背景に住所などが映り込んでいないか確認する」「家族や友達の顔や声を入れる時は、必ず許可を取る」「家の中の様子は映さない」など。
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「どんなことを話すか・話さないか」のルール: 「個人が特定できるような情報は話さない(学校名、習い事の場所、普段遊んでいる場所など)」「友達の秘密や悪口は言わない」「誰かを傷つけるような言葉は使わない」など。
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「困ったときにどうするか」のルール: 「もし変なコメントが来たり、怖い人が話しかけてきたりしたら、すぐに配信をやめる」「困ったことがあったら、必ずお母さん(お父さん)に相談する」など、相談のルールを明確にしておくことが非常に重要です。
すべてのルールを一度に決める必要はありません。特に心配な点から、一つずつ決めていくのがおすすめです。
ステップ4:決めたルールを「見える化」する
決めたルールを紙に書いたり、家族みんなが見える場所に貼ったりすると、より意識しやすくなります。「ライブ配信ルール」「ストーリーズの約束」など、分かりやすいタイトルをつけて、お子さんがいつでも確認できるようにしておきましょう。
ステップ5:定期的に「見直す」
お子さんは成長し、SNSの機能も変化していきます。一度決めたルールも、半年や1年ごと、あるいは新しい機能が出てきたときなどに、お子さんと一緒に「今のルールで大丈夫かな?」「変えた方がいいところはあるかな?」と話し合って見直しましょう。
ルール作りのヒントと大切なこと
ルール作りを進める上で、いくつか心に留めておいていただきたいことがあります。
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完璧を目指さない: 最初から全ての危険を網羅した完璧なルールを作るのは難しいことです。まずは「これだけは守ってほしい」という一番大切なことから始め、少しずつ増やしたり変えたりしていけば大丈夫です。
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お子さんの意見も尊重する: 一方的に押し付けるのではなく、お子さんの意見も聞きながら一緒に決めることで、お子さん自身が「自分で決めたルールだから守ろう」という気持ちになりやすくなります。
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「困ったら相談」の関係を作る: ルール以上に大切なのは、お子さんが何か困ったことや怖いことがあったときに、「お母さん(お父さん)に言えば助けてもらえる」と思える関係を築くことです。日頃から「SNSで何か変なことあった?」とさりげなく声をかけたり、お子さんの話を否定せずじっくり聞いたりすることを心がけましょう。
まとめ
お子さんのSNS利用、特にライブ配信やストーリーズといった新しい機能に対して、漠然とした不安を感じるのは自然なことです。しかし、これらの機能について少し理解し、お子さんと一緒に「何に気をつけようか」「困った時はどうしようか」と話し合い、家庭に合ったルールを作ることで、お子さんはぐっと安全にSNSを利用できるようになります。
ルールは、お子さんをがんじがらめにするものではなく、楽しく安心してインターネットの世界を探検するための「地図」や「ヘルメット」のようなものです。
この機会にぜひ、お子さんと一緒にライブ配信やストーリーズの使い方について話し合い、お子さんの安全を守るための第一歩を踏み出していただければと思います。