子供がSNSで「困った」を相談してくれたら:保護者が知っておくべき受け止め方と対応
お子さんのSNS利用が始まると、「何かトラブルに巻き込まれないだろうか」「困ったことがあっても、親には隠してしまうのではないか」と、ご心配になる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
SNSの利用ルールを決めることはもちろん大切ですが、お子さんが実際に困った状況になったときに、「お父さん、お母さんに話してみよう」と思えるような家庭環境を作っておくことは、ルールの遵守と同じくらい、あるいはそれ以上に大切です。
この記事では、お子さんがSNS利用中に困ったことやトラブルに遭遇した際に、保護者に安心して相談できるようになるための日頃の関わり方と、実際に相談を受けた際の具体的な対応方法について、分かりやすくご説明します。
なぜ、お子さんが「相談しやすい家庭」が大切なのでしょうか?
SNSの世界では、お子さんが思ってもいないような「困ったこと」に遭遇する可能性があります。たとえば、
- 友達とのやり取りで誤解が生じてしまった
- 知らない人から不快なメッセージが届いた
- 悪口を書き込まれて傷ついた
- ついつい長時間使いすぎて後悔した
このような経験をしたとき、もしお子さんが「親に話すと怒られる」「心配をかけたくない」「どうせ分かってもらえない」と感じていたら、一人で抱え込んでしまうかもしれません。
一人で抱え込むと、問題が大きくなってしまったり、お子さんの心が深く傷ついてしまったりする可能性があります。そうならないためにも、お子さんがどんなことでも「お父さんやお母さんになら話せる」と思える関係性が非常に重要になります。これは、SNSのルールを一方的に押し付けるのではなく、お子さんと一緒にルールを作り、そのルールを守る過程でも温かいコミュニケーションを続けることにもつながります。
日頃からお子さんが相談しやすい関係を作るには?
お子さんが困った時に「話してみよう」と思えるかどうかは、特別なことではなく、日頃のちょっとした関わり方にかかっています。難しく考える必要はありません。以下の点を少し意識してみてください。
1. お子さんの話に「耳を傾ける姿勢」を見せる
お子さんが学校での出来事や友達との話などをしているとき、忙しくても少し立ち止まって話を聞いてみてください。話の腰を折ったり、すぐに自分の意見を言ったりせず、「うんうん」と相槌を打ちながら聞くだけでも構いません。保護者が自分の話を大切に聞いてくれる、と感じる経験が、「この人になら相談できる」という信頼感につながります。
2. SNSやインターネットの話を「開いてみる」
保護者の方がSNSに詳しくなくても構いません。「最近、どんなアプリが流行ってるの?」「友達とSNSでどんな話をするのが楽しい?」など、お子さんの興味関心に寄り添う形で話しかけてみてください。お子さんが好きなことについて楽しそうに話す姿を見せることで、SNSの話をすることが特別なことではなくなります。ただし、詮索するような聞き方にならないように注意しましょう。
3. 保護者自身の「失敗談」や「苦手なこと」を話す
「お父さんも(お母さんも)、若い頃は友達とのことで悩んだことがあったよ」「実は、新しいスマホの機能はよく分からなくて苦手なんだ」など、保護者自身が完璧ではないこと、困ったり失敗したりした経験があることを話すことも有効です。これにより、お子さんは「困るのは自分だけじゃないんだ」「親だって完璧じゃないから、相談しても大丈夫かも」と感じやすくなります。
4. 頭ごなしに「否定しない」「叱らない」雰囲気を作る
お子さんが何か話そうとしたときに、「それはダメでしょ!」「なんでそんなことしたの!」とすぐに感情的に否定したり、厳しく叱ったりしないように気をつけましょう。たとえ内容が保護者にとって好ましくないことに思えても、まずは「最後まで話を聞こう」と意識することが大切です。日頃から、お子さんの意見や気持ちを一度は受け止める姿勢を見せることで、何かあった時に安心して話せる場所だとお子さんは感じます。
実際に相談されたら?保護者が知っておくべき「受け止め方と対応」
お子さんが勇気を出して「実はね、SNSで困ったことがあって…」と話してくれたとき、保護者の最初の反応が非常に重要です。ここで適切に対応できるかどうかが、今後も相談してくれるかどうかの分かれ目になります。
ステップ1:まずは「話してくれてありがとう」と感謝を伝える
お子さんが「話そう」と決心するまで、たくさん悩んだはずです。相談してくれたその勇気を心から称賛し、「辛かったのに、お父さん(お母さん)に話してくれて本当にありがとう」と、感謝の気持ちを伝えてください。問題の内容よりも先に、話してくれたこと自体を肯定的に評価することが何よりも大切です。
ステップ2:話を「最後まで聞く」ことに徹する
相談内容が心配なことであっても、話を途中で遮ったり、「それはこうすればよかったのに」とアドバイスを始めたりしないでください。まずは、お子さんが話したいことを全て話し終えるまで、じっと耳を傾けましょう。事実関係の確認や解決策は、全て聞き終わってからで大丈夫です。落ち着いて、お子さんの言葉に集中してください。
ステップ3:お子さんの気持ちに「寄り添う」言葉をかける
話を聞きながら、「それは大変だったね」「辛かったね」「怖かったね」など、お子さんの気持ちに寄り添う言葉をかけてください。お子さんは、自分の感情を理解してもらえることで安心感を得られます。すぐに解決策を示さなくても、共感してもらえるだけで心が軽くなることがあります。
ステップ4:一緒に「どうするか考える」姿勢を示す
全てを聞き終え、お子さんの気持ちに寄り添った後で、「このことについて、〇〇(お子さんの名前)はどうしたいかな?」「お父さん(お母さん)も一緒に考えたいんだけど、どうしたら良いと思う?」と、解決に向けて一緒に行動する姿勢を示してください。保護者が一人で全てを解決しようとするのではなく、お子さん自身が問題解決に関わることで、主体性や対処能力も育まれます。いくつかの選択肢(例:「一旦SNSから離れてみる?」「友達に正直な気持ちを伝えてみる?」「誰かに相談してみる?」など)を一緒に考えてみるのも良いでしょう。
ステップ5:必要に応じて「専門機関や信頼できる大人」に相談する
お子さんが一人で抱えきれない問題や、保護者の方だけでは判断が難しい問題の場合は、ためらわずに学校の先生やスクールカウンセラー、地域の相談窓口、警察などの専門機関に相談してください。問題を外部の助けを借りて解決することも、お子さんにとって良い学びになります。「一人で抱え込まなくて良いんだよ」というメッセージにもなります。
まとめ
SNS利用ルールを作ることはお子さんを危険から守るための大切な一歩ですが、それと同時に、お子さんが困った時に「親に相談しよう」と思える安心できる関係性を日頃から築いておくことも非常に重要です。
お子さんの話を丁寧に聞くこと、SNSの話を避けずに興味を持つこと、そして実際に相談された時には、まず感謝し、最後まで聞き、寄り添い、そして「一緒に考えよう」という姿勢で対応すること。これらの関わり方が、お子さんのSNS利用をより安全で健やかなものにするための大きな力となります。
難しく考えすぎず、今日からできることから一つずつ試してみてください。お子さんとの温かいコミュニケーションが、SNS時代の「困った」を乗り越えるための一番の味方になるはずです。