子供のSNS「いいね!」やコメント、どう向き合う?家庭で決める『反応』ルールの作り方
SNSを利用していると、「いいね!」をもらったり、コメントをつけたり、つけられたりする機会があります。こうした人からの「反応」は、SNSの魅力の一つでもありますが、子供たちにとっては、時に不安や悩みのもとになることもあります。
「いいね!」が少ないと落ち込んでしまう、心ないコメントで傷ついてしまう、友達からのコメントにどう返したらいいか分からないなど、子供たちがSNSの「反応」にどう向き合っていくかは、安全に利用するためにとても大切なことです。
このコラムでは、SNSの「いいね!」やコメントといった「反応」が子供にどのような影響を与える可能性があるのか、そして、それについて家庭でどのように話し合い、具体的なルールを作っていけばよいのかを分かりやすくお伝えします。
SNSの「いいね!」やコメントが子供に与える影響とは
SNSでの「いいね!」やコメントは、投稿した内容に対して、他の人が関心を持ったり、共感したりしたことを示すものです。これは、自分の表現が受け入れられた、認められたと感じる喜びにつながります。特に子供たちの世界では、友達とのつながりを感じたり、自分の居場所を確認したりする大切な機会になることもあります。
一方で、以下のような難しさもあります。
- 「いいね!」の数が気になる: 自分の投稿についた「いいね!」の数を他の人の投稿と比べてしまい、数が少ないと「自分の投稿はつまらないのかな」「自分は人気がないのかな」と落ち込んでしまうことがあります。
- 他人の評価が気になりすぎる: 人からどう見られているかを気にしすぎたり、友達からの評価を強く求めたりするようになることがあります。
- 心ないコメント: 残念ながら、SNSでは顔が見えない相手から、傷つくようなコメントや誹謗中傷を受けたり、全く知らない人から不快な内容のコメントがついたりすることがあります。
- コメントへの返信: 友達からコメントがついた時に、どう返信すれば相手が喜ぶか、あるいは失礼にならないかと悩んでしまうことがあります。
こうしたSNSの「反応」を巡る悩みは、子供たちの自己肯定感に影響を与えたり、不安やストレスにつながったりする可能性があります。そのため、事前に家庭で話し合い、どう向き合うかを決めておくことが安心につながります。
家庭で話し合いたい「反応」に関する大切なこと
SNSの「反応」について家庭でルールを作る前に、まずは親子で、あるいは保護者の方だけでも、以下の点について考えてみましょう。
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「いいね!」の数の意味:
- 「いいね!」の数は、あくまで投稿を見た人の一時的な反応の一つであり、その子自身の価値や魅力とは関係がないことを伝えます。
- 「いいね!」をたくさん集めることだけがSNSの目的ではないことを話し合います。何のためにSNSを使うのか(例:思い出を記録する、友達と楽しいことを共有する、興味のある情報を得るなど)を一緒に考えてみましょう。
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コメントの受け止め方:
- ポジティブなコメントは嬉しいものですが、そうでないコメントがつく可能性もあることを伝えます。
- 心ないコメントや、嫌な気持ちになるコメントが届いたときは、一人で悩まず、必ず保護者に相談することを約束します。どう対応するかは、一緒に考えたり、保護者が対応したりすることを伝えておきます。無視する、ブロック機能を使う、通報するといった対応方法があることを説明しておくと安心です。
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自分がコメントする時の注意:
- 友達の投稿にコメントする際は、相手が読んで嬉しい気持ちになる言葉を選ぶことの重要性を伝えます。
- 悪口や、からかい、人を傷つけるような言葉は絶対に使わないことを明確に約束します。
- 友達の投稿に、自分の個人的な情報(例:「明日、〇〇ちゃんの家に遊びに行くね」といった情報)を書き込まないように注意を促します。
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投稿の目的と見る人:
- 自分が何のためにその投稿をするのか、誰に見てもらいたいのかを考える習慣をつけます。例えば、「友達に最近あった楽しい出来事を教えたい」「自分の作ったものを見てもらいたい」など、目的が明確だと、「いいね!」の数に一喜一憂しにくくなります。
- 投稿が、たとえ友達限定で公開していても、意図せず他の人の目に触れる可能性があることを伝えます。
家庭で決める「反応」ルールの具体的なステップ
話し合いで確認したことをもとに、家庭ごとの状況に合わせて具体的なルールを決めていきましょう。ルールは、難しく考える必要はありません。「こんな時はこうしようね」という、家庭内の約束事として考えます。
ステップ1:家庭で話し合いたいポイントを選ぶ
上記の「話し合いたい大切なこと」の中から、お子さんの年齢やSNSの利用状況に合わせて、特に重要だと感じるポイントを選びます。最初から全てを完璧に決めようとせず、お子さんが理解しやすいことから始めましょう。
ステップ2:お子さんと一緒に「こうしようね」という約束を決める
選んだポイントについて、お子さんと一緒に「どんな風にしていこうか?」と具体的に話し合いながら、約束事を決めます。保護者だけが一方的に決めるのではなく、お子さんの気持ちも聞きながら、「これならできそうだね」という内容を目指します。
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例1:「いいね!」の数が気になったら
- 親「『いいね!』が少ないと、どんな気持ちになる?」
- 子「ちょっと悲しいかな」
- 親「そういう時は、どうすればいいかな? 例えば、お父さんやお母さんに『なんか元気出ないな』って話してくれる?」
- 子「うん、話す」
- ルール案: 「『いいね!』の数が少なくても、落ち込みすぎない。もし悲しくなったら、お父さんかお母さんに話す。」
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例2:心ないコメントが来たら
- 親「もし、あなたが嫌な気持ちになるようなコメントがついたら、どうしたらいいと思う?」
- 子「無視する」
- 親「無視するのも一つの方法だね。でも、すごく嫌な気持ちになったり、困ったりしたら? 一人で抱え込まないで、一番に誰に話してほしいかな?」
- 子「お母さん」
- ルール案: 「SNSで嫌なコメントや困ったことがあったら、必ずまずお父さんやお母さんに相談する。一人で返信したり、悩んだりしない。」
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例3:友達にコメントする時
- 親「友達の投稿にコメントする時、どんなことに気をつけたら、みんなが気持ちよく使えると思う?」
- 子「悪口は言わない」
- 親「そうだね、大事だね。それ以外には? 例えば、言われたら嬉しい言葉ってどんな言葉かな?」
- 子「『すごいね!』とか『可愛いね!』とか」
- ルール案: 「友達にコメントする時は、相手が読んで嬉しくなる言葉を選ぶ。悪口や人を傷つける言葉は書かない。」
このように、具体的な状況を想定しながら、「こんな時はどうする?」と問いかけ、お子さん自身にも考えてもらいながらルールを決めていくと、より実践的で納得感のあるものになります。
ステップ3:決めたルールを記録し、共有する
決めたルールは、忘れないように書き出しておきましょう。紙に書いて冷蔵庫に貼る、家族で共有できるメモアプリに入力するなど、家族みんながいつでも見返せるようにしておくと効果的です。
ステップ4:時々見直す
お子さんの成長やSNSの利用状況は変わっていきます。一度決めたルールも、半年後、一年後、あるいは何かトラブルがあった時などに、家族で一緒に見直す時間を持つことが大切です。「このルール、もうちょっと変えてもいいかな?」「新しい心配事はないかな?」と話し合いながら、家庭に合ったルールに更新していきましょう。
保護者としてできるサポート
ルールを決めるだけでなく、保護者としてお子さんをサポートすることも重要です。
- 日頃から話を聞く姿勢を持つ: お子さんがSNSでどんなことを見ているのか、どんな投稿をしているのか、どんなことで「いいね!」をもらって嬉しいのか、あるいは落ち込んでいるのかなど、日常的に話題にできると、いざという時に相談しやすくなります。
- 過度に干渉しすぎない: お子さんの投稿内容や「いいね!」の数を逐一チェックしたり、コメントに口出ししたりすることは、お子さんの自主性を損ねる可能性があります。信頼関係を築き、お子さんが自分で考え、判断できるようサポートする姿勢が大切です。ただし、ルール違反や明らかな危険が見られる場合は、適切に介入する必要があります。
- 一緒に考える: もしお子さんがSNSの「反応」で悩んでいたら、「こうしなさい」と一方的に指示するのではなく、「どうしたらいいと思う?」「お父さん(お母さん)なら、こういう風に考えるかな」と一緒に問題解決の方法を考えるスタンスで向き合いましょう。
まとめ
SNSの「いいね!」やコメントといった「反応」は、子供たちにとって喜びになる一方で、悩みや不安の原因にもなり得ます。こうしたSNS特有のコミュニケーションの特性を理解し、家庭で具体的に「どう向き合うか」を話し合ってルールを決めることは、子供たちがSNSを健全に、そして安心して利用するために非常に有効です。
完璧なルールを目指す必要はありません。今回ご紹介したステップを参考に、まずは家庭で話し合うことから始めてみてください。「反応」に関するルール作りを通して、お子さんはSNSとの健康的な距離感や、他者とのコミュニケーションのあり方を学ぶ機会を得ることができるでしょう。
家族みんなで、SNSの「反応」とも上手に付き合っていけるように、一歩ずつ取り組んでいきましょう。