これで安心! 子供のSNS『人と比べてつらい…』に寄り添う家庭での関わり方・ルール作り
SNSは、お子さんにとって友達とつながったり、新しい情報に触れたりする楽しい場所です。その一方で、他の人の投稿を見て「自分だけ楽しそうじゃない」「他の子ばかり輝いている」と比べてしまい、つらい気持ちになったり、疲れてしまったりすることがあります。
なぜSNSを見ると比べてつらくなるのでしょう。そして、親としてお子さんにどう声をかけ、どんなルールを家庭で作れば良いのでしょうか。ここでは、お子さんがSNSで心穏やかに過ごせるよう、具体的な関わり方やルール作りのヒントをお伝えします。ITに詳しくない方も安心して読み進めていただけるよう、分かりやすい言葉で説明します。
なぜSNSを見ると「比べてつらくなる」のでしょう?
SNSでは、多くの人が自分の「良いところ」「楽しい出来事」を選んで発信しています。旅行の写真、美味しい食事、友達との集まりなど、キラキラした瞬間の切り取りが多い傾向があります。
お子さんが他の人の投稿を見たとき、どうしても「自分」と「相手のキラキラした部分」を比べてしまいがちです。相手の投稿の裏にある大変さや日常の普通の部分は見えないため、「みんなはあんなに楽しそうなのに、自分は…」と感じてしまうことがあります。これが繰り返されると、「自分はダメだ」「置いてけぼりだ」といった気持ちになり、心が疲れてしまうのです。
お子さんの「つらい気持ち」に気づくサイン
お子さんがSNSで比べることに疲れていても、自分から話してくれないこともあります。しかし、お子さんの様子に変化がないか注意深く見守ることで、サインに気づける場合があります。
- SNSを見ているときの変化: 前は楽しそうに見ていたのに、ため息が増えた、急に画面を閉じる、イライラしているように見えるなど。
- SNS利用時間の変化: 急にSNSを見る時間が極端に長くなる、または逆に全く見なくなるなど。
- 普段の様子の変化: 口数が減った、元気がなくなった、好きだったことに関心を示さなくなった、寝つきが悪くなった、食欲がないなど。
- 言葉のサイン: 「〇〇ちゃん(友達)は毎日楽しそうでいいな」「私なんて、全然面白くない」といった、他の子と比べて自分を否定するような言葉を口にする。
こうした変化は、SNSだけでなく他の原因の場合もありますが、「SNSで何か心につかえていることがあるのかも」と考えるきっかけになります。
お子さんの「つらい気持ち」に寄り添う関わり方
お子さんの様子の変化に気づいたら、まずは優しく声をかけることから始めましょう。大切なのは、お子さんの気持ちを否定せず、寄り添う姿勢です。
- 「大丈夫?」と声をかける: 「最近、元気がないみたいだけど、何かあった?」「SNS見てて、何か嫌なことでもあった?」など、心配していることを伝えます。一方的に決めつけたり、「SNSばっかり見てるからよ!」と責めたりするのは避けましょう。
- まずは「聞く」に徹する: お子さんが話し始めたら、途中で口を挟まず、最後までじっくり話を聞いてあげてください。「うんうん」「そうなんだね」と相づちを打ちながら、お子さんの気持ちを受け止める姿勢を示します。
- 共感する言葉を選ぶ: 「比べてつらい気持ちになること、あるよね」「みんなの良いところばかり見えちゃうと、嫌な気持ちになっちゃうこと、お母さん(お父さん)にもあるよ」など、お子さんの気持ちに寄り添う言葉を伝えます。お子さんだけが特別なのではない、誰にでも起こりうる感情であることを伝えるのも良いでしょう。
- すぐに解決策を出さない: 保護者としては早く解決してあげたいと思うかもしれませんが、まずは「つらい気持ちを話せた」「聞いてもらえた」という安心感がお子さんには必要です。「こうすればいいんじゃない?」「そんなこと気にしなくていいのよ」とすぐにアドバイスするのではなく、お子さんの話を受け止めることを優先してください。
「比べてつらい」を減らすための家庭ルール作り
お子さんの気持ちに寄り添うことに加えて、SNSとの向き合い方について、親子で話し合ってルールを作ることも大切です。
1. 「SNSは現実の全てではない」と話し合う
SNSで見えているのは、その人のごく一部、それも特に良い部分を切り取ったものであることを伝えます。
- 「SNSの投稿って、映画の予告編みたいなものだよ。楽しい部分だけを見せているんだ」「みんなも、つらいことや大変なことはSNSには書かないことが多いんだよ」
- 親子で一緒に、あえて「失敗したこと」「大変だったこと」などを話してみるのも良いかもしれません。「SNSには載せなかったけど、実はこんな大変なことがあったんだ」といった、SNSには見えない部分の話をすることで、お子さんも「みんなも色々なことがあるんだ」と感じやすくなります。
2. 「いいね!」やコメント数に振り回されないルール
投稿への「いいね!」やコメントの数が少ないと、「自分は人気がない」「みんなに認められていない」と感じてしまうことがあります。
- 「『いいね!』の数で、あなたの価値は決まらないよ」という大切なメッセージを繰り返し伝えます。
- 「誰かの投稿に『いいね!』するときは、数を気にするのではなく、本当に良いな、応援したいなと思った時にしようね」「自分の投稿に『いいね!』が少なくても、がっかりしすぎないようにしよう。反応が少なくても、あなたの投稿には価値があるんだから」といったルールや考え方を共有します。
3. どんなアカウントをフォローするか話し合う
SNSは見る相手を選べます。見ることで元気になれるアカウント、学ぶことがあるアカウントを選ぶことも大切です。
- 「見ていて嫌な気持ちになるアカウントや、自分と比べて落ち込んでしまうことが多いアカウントは、無理して見続けなくてもいいんだよ」「フォローを外したり、一時的に見ないようにしたりしても大丈夫」といった選択肢があることを教えます。
- 「どんなアカウントを見ると楽しい?」「どんな投稿を見ると元気が出る?」などと親子で話しながら、お子さんが心地よく利用できるフォローリストについて一緒に考えてみるのも良いでしょう。
4. SNSから離れる「デジタルデトックス」の時間を作る
ずっとSNSを見ていると、どうしても他の人と比べてしまったり、疲れてしまったりします。意識的にSNSから離れる時間を作るルールは有効です。
- 「寝る1時間前からはスマホを見ない」「食事中はSNSを見ない」「週末はSNSを見ない時間帯を作る」など、具体的な時間を決めます。
- ルールとして決めるだけでなく、「SNSから離れて、どんなことをしたい?」「代わりに何をしたら楽しい?」など、SNS以外の楽しい時間の過ごし方についてもお子さんと話し合ってみましょう。共通の趣味の時間を作るのも良いかもしれません。
5. 困ったときはいつでも相談できる関係を作る
これが最も重要かもしれません。お子さんが「つらい」「どうしたらいいか分からない」と感じたときに、「この人なら安心して話せる」と思える存在がいることが心の支えになります。
- 普段からお子さんの話をよく聞き、お子さんの気持ちに寄り添う姿勢を大切にします。
- 「SNSのことで困ったり、嫌な気持ちになったりしたら、いつでもお父さんやお母さんに話してね。どんなことでも、一緒に考えよう」というメッセージを具体的に伝えます。相談することの安心感を伝えてください。
まとめ:完璧なルールより、変化に合わせて調整を
SNSでの「比較疲れ」は、誰にでも起こりうる心の状態です。大切なのは、お子さんが一人で悩まずに済むよう、保護者が変化に気づき、寄り添い、一緒に解決策を考えていくことです。
今回ご紹介した関わり方やルールは、あくまで一例です。お子さんの性格やSNSの使い方、家庭の状況に合わせて、話し合いながら調整してください。一度決めたルールも、お子さんの成長やSNSの変化に合わせて見直していくことが大切です。
SNSは楽しいツールですが、使い方によっては心に負担をかけることもあります。お子さんがSNSと上手に付き合い、心穏やかに過ごせるよう、温かく見守り、支えていきましょう。