【どこで?いつ?】家庭のSNSルール:場所と時間の決め方ステップ
お子さんがSNSを使い始めるにあたり、保護者の皆様は様々なご心配を抱えていらっしゃることと思います。インターネット上の危険だけでなく、「SNSに夢中になりすぎて勉強がおろそかにならないか」「夜遅くまでスマホを見て、睡眠不足にならないか」といった、お子さんの生活習慣や健康への影響も気になるところではないでしょうか。
このような心配を減らし、お子さんがSNSと上手に付き合っていくためには、家庭でのルール作りが非常に役立ちます。この記事では、数あるルールの中でも、特に「SNSを使う場所」と「使う時間」に焦点を当て、どのように家庭に合ったルールを決めていくか、具体的なステップをご紹介します。
なぜ「場所」や「時間」のルールが必要なのでしょうか?
SNS利用に関するルールというと、投稿内容や知らない人との交流について思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、それらも非常に重要です。しかし、「どこで使うか」「いつ使うか」といった場所や時間のルールも、お子さんの健やかな成長と家族の安心のために欠かせません。
具体的な例を考えてみましょう。
- 寝る前のSNS利用: 寝る直前までSNSを見ると、画面から出る光(ブルーライトなどと呼ばれます)の影響で脳が覚醒しやすくなり、寝つきが悪くなったり、睡眠時間が短くなったりすることがあります。成長期のお子さんにとって、十分な睡眠は心身の健康のために非常に大切です。
- 個室での長時間の利用: お子さんが自分の部屋にこもって長時間SNSを利用していると、保護者がお子さんの様子を把握しにくくなります。どんな情報を見ているのか、誰とやり取りしているのか、保護者の目が届きにくくなることで、トラブルに巻き込まれた際に気づくのが遅れる可能性があります。
- 食事中の利用: 家族みんなで食卓を囲む時間は、その日の出来事を話したり、お互いの顔を見て笑い合ったりする貴重なコミュニケーションの時間です。食事中に各自がスマホを見ていると、家族の会話が減り、家族の絆が弱まってしまうことにつながりかねません。
このように、SNSを使う場所や時間によって、お子さんの健康、生活習慣、家族とのコミュニケーション、そして安全確保に大きな影響を与えることがあります。だからこそ、「場所」と「時間」に関するルールを明確にすることが大切なのです。
家庭での「場所」ルールを決めるステップ
では、具体的にどのようなステップで場所のルールを決めていけば良いのでしょうか。
ステップ1:お子さんの現在の利用状況を観察する
まず、普段お子さんがSNSを「どこで」使っているかを、少し意識して見てみましょう。リビングのソファで使っていることが多いのか、自分の部屋にいる時に使っているのか、食卓でも使っているのかなど、具体的な状況を把握することから始めます。これは、現状を理解し、何についてルールが必要かを考えるための第一歩です。
ステップ2:家庭で話し合う
次に、お子さんと一緒に場所のルールについて話し合います。一方的に「ここで使ってはいけない」と決めるのではなく、「どこならSNSを使っても良いと思う?」「どこで使うのが難しそうかな?」と、お子さんの意見も聞きながら進めることが大切です。
この時、「なぜこの場所では使わない方が良いのか」という理由を、お子さんにも分かるように丁寧に説明しましょう。「リビングなら家族がいるから、何かあった時にすぐに相談できるね」「お風呂に持っていくと、もし落としたら壊れてしまうかもしれないね」など、具体的な言葉で伝えます。
ステップ3:具体的な場所を決める
話し合った結果に基づいて、SNSを使っても良い場所と、使わない場所を具体的に決めます。
- 例1:リビング限定
- 「SNSを使うときは必ずリビングにする」というルール。家族の目が届きやすい場所で使うことで、保護者も安心感が増します。
- 例2:個室は特定の時間帯のみ
- 「自分の部屋でSNSを使うのは、夜9時まで」のように、時間と場所を組み合わせるルール。
- 例3:特定の場所は常にNG
- 「食事中は食卓にスマホを持ち込まない」「お風呂やトイレには持っていかない」のように、プライベートな空間や危険な場所での利用を制限するルール。
ご家庭の生活スタイルやお子さんの年齢、性格に合わせて、無理のない範囲で具体的な場所を決めましょう。
ステップ4:決めた理由を改めて確認する
決めたルールと、なぜそのルールにしたのかという理由を、お子さんと一緒に改めて確認します。理由を理解することで、お子さん自身も納得してルールを守りやすくなります。
家庭での「時間」ルールを決めるステップ
場所のルールと同様に、時間のルールもステップを踏んで決めていきましょう。
ステップ1:お子さんの現在の利用時間帯を観察する
お子さんが「いつ」SNSを使っているか、朝起きてすぐなのか、学校から帰ってきてからなのか、寝る前なのかなど、普段の時間帯を把握します。また、SNSにどのくらいの時間を費やしているかも、可能であれば観察してみましょう。
ステップ2:家庭で話し合う
「いつSNSを使っても良いか」「いつはSNSを使わない方が良いか」について、お子さんと話し合います。お子さんの生活リズム(習い事、宿題、就寝時間など)を考慮しながら、「この時間帯はSNSをやめて、他のことをしようね」というように、具体的な時間帯やタイミングを話し合います。
「なぜこの時間は使わない方が良いのか」という理由も、場所のルールと同様に丁寧に説明します。「夜遅くまでSNSを見ると、次の日に眠くて学校で頑張れないかもしれないね」「ご飯の時間は、みんなで今日あったことを話す大切な時間だよ」など、お子さんが納得できるような理由を伝えましょう。
ステップ3:具体的な時間帯やタイミングを決める
話し合いの結果に基づいて、SNSを使っても良い時間帯や、使わない時間帯・タイミングを具体的に決めます。
- 例1:特定の時間帯は使わない
- 「夜9時から朝7時までは使わない」のように、夜間の利用を制限するルール。
- 例2:特定の活動中は使わない
- 「食事中、入浴中、勉強中は使わない」のように、他の大切な活動とSNS利用を切り分けるルール。
- 例3:使う時間を決める
- 「学校から帰ってきてから夕食までの間で30分だけ」「休日は午前と午後にそれぞれ1時間ずつ」のように、1日の合計時間や、使える時間帯を具体的に決めるルール。
お子さんの年齢や生活状況によって、最適な時間の決め方は異なります。まずは無理のない範囲で、家族みんなが合意できる時間帯を決めることが大切です。
ステップ4:決めた理由を改めて確認する
決めた時間のルールと、なぜそのルールにしたのかという理由を、お子さんと一緒に改めて確認します。
ルールを効果的にするためのポイント
場所や時間のルールをせっかく決めても、なかなか守られないと悩んでしまうこともあるかもしれません。ルールを効果的にするためのいくつかのポイントをご紹介します。
- お子さんと一緒に決める: 一方的に押し付けられたルールは守りにくいものです。お子さん自身がルール作りに参加することで、「自分で決めたルールだから守ろう」という意識が芽生えやすくなります。
- 理由を丁寧に説明する: なぜそのルールが必要なのか、お子さんの健康や安全、家族のためになることを具体的に伝えましょう。理由が分かれば、納得して行動しやすくなります。
- 完璧を目指さない: 最初から完璧なルールを目指す必要はありません。まずは「寝る前1時間だけはやめてみよう」「食事中はスマホを置く場所を決めよう」など、小さな一歩から始めてみましょう。
- 保護者も一緒に意識する: 保護者自身も、お子さんの前で長時間スマホを見続けたり、食卓でスマホをいじったりしていないか、見直してみましょう。大人がお手本を示すことも大切です。
- 定期的に見直す: お子さんの成長や生活状況の変化に合わせて、ルールも定期的に見直すことが重要です。「このルール、今の私たちに合っているかな?」と、家族で話し合う機会を持ちましょう。
まとめ
お子さんのSNS利用に関して、「どこで使うか」「いつ使うか」という場所と時間のルールを決めることは、お子さんの健康を守り、生活習慣を整え、家族とのコミュニケーションを大切にするために非常に有効な方法です。
難しく考える必要はありません。まずは現状を観察し、お子さんと「なぜこのルールが必要なのか」という理由を共有しながら、家庭に合った無理のないルールを一つずつ決めていくことから始めてみましょう。
この記事でご紹介したステップが、皆様の家庭での安心できるSNSルール作りの一助となれば幸いです。