家庭のSNSルール:写真や動画投稿で知っておきたいこと・決めたいこと
SNSでは、日常の一コマや思い出として、写真や動画を投稿したり、友達と共有したりすることが一般的になっています。お子さんもスマートフォンなどで手軽に写真や動画を撮り、SNSに投稿したいと考えているかもしれません。
保護者の方の中には、「写真や動画をネットに載せるのはなんとなく怖い」「どんなことに気をつけたらいいのか分からない」と、不安を感じている方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、お子さんがSNSで写真や動画を投稿する際に知っておきたい具体的な注意点や、ご家庭でぜひ話し合って決めておきたいルールについて、分かりやすくご説明します。
なぜ、写真や動画の投稿にルールが必要なのでしょうか?
楽しい写真や動画の共有ですが、実は思わぬ危険が潜んでいることもあります。一度インターネット上に公開された写真や動画は、簡単にコピーされたり、広まったりする可能性があるため、特に注意が必要です。
具体的にどのようなリスクがあるのかを知ることで、「なぜルールが必要なのか」がお子さんにも伝わりやすくなります。
写真・動画投稿に潜む「こんなはずじゃなかった」を防ぐための注意点
写真や動画には、見た目以上にたくさんの情報が含まれていることがあります。投稿する際にどんなことに気をつける必要があるのか、主な点をご紹介します。
1. 個人情報が漏れてしまう危険性
- 写り込みに注意: 写真の背景に、自宅の窓から見える景色、学校の看板、制服、表札、部屋の様子などが写り込んでいると、どこに住んでいるのか、どこの学校に通っているのかなどが特定されてしまう可能性があります。軽い気持ちで撮った写真から、行動範囲や生活リズムまで推測されてしまうこともあります。
- 顔出しの危険性: お子さんの顔がはっきりと写っている写真を公開範囲を広くして投稿すると、見知らぬ人にも顔を知られてしまいます。悪意を持った人に利用されたり、なりすましの原因になったりする危険性もゼロではありません。
- 位置情報: スマートフォンで撮った写真には、撮影した場所のGPS情報(位置情報)が自動的に記録されていることがあります。この情報が付いたままSNSに投稿すると、自宅やよく行く場所などが知られてしまう可能性があります。SNSの設定で位置情報が自動的に付かないようにしたり、投稿前に削除したりすることが大切です。
2. 友達や他の人のプライバシーを守ること
- 無許可での投稿: お子さんだけでなく、一緒に写っている友達や家族の顔、姿が写っている写真を、その人の許可なくSNSに投稿することは、プライバシーの侵害にあたる可能性があります。写っている人が「勝手に載せないでほしかった」と感じることは、人間関係のトラブルにもつながります。
- 背景に写った第三者: たとえお子さんが写っていなくても、街中で撮った写真に全く関係のない人が写り込んでいる場合もあります。写り込んでいる人の顔などが判別できるような写真を無許可で投稿するのは避けるべきです。
3. 著作権や肖像権の問題
- 著作権: 誰かが作った音楽、キャラクター、絵、デザインなどが写り込んだり、背景に流れたりしている動画や写真を、許可なくSNSで公開することは、著作権の侵害にあたる場合があります。
- 肖像権: 人には自分の姿を勝手に写真に撮られたり、公開されたりしないように主張できる権利(肖像権)があります。自分以外の人が写っている写真を投稿する際は、この肖像権に配慮が必要です。
4. 意図しない「炎上」やトラブル
- 不適切な内容: 悪ふざけをしている様子や、誰かを馬鹿にしたり傷つけたりするような写真・動画を軽い気持ちで投稿すると、多くの人から批判が集まり「炎上」してしまうことがあります。一度炎上すると、あっという間に情報が拡散し、取り消すことが難しくなります。
- 誤解を招く表現: 特定の場所や人物、出来事について、見ている人が誤解するような写真や動画を投稿してしまうこともあります。
家庭で話し合い、決めておきたい写真・動画投稿のルール例
上記のようなリスクを踏まえて、ご家庭で具体的にお子さんと話し合い、決めておきたいルールにはどのようなものがあるでしょうか。難しく考える必要はありません。まずは「これだけは守ろうね」という簡単なことから始めるのが大切です。
- 「だれか」が写っている写真・動画を投稿する時は、必ず「いい?」と聞く
- 自分以外の友達や家族が写っている写真・動画をSNSに投稿する前に、必ず写っている本人に「この写真(動画)、SNSに載せてもいい?」と許可を取りましょう。写っている人みんなが良いと言ってくれた時だけにしましょう。
- 友達が「嫌だ」と言ったら、絶対に投稿しない、送らないという約束をしましょう。
- 場所が分かってしまう写真は載せない
- 自宅の中の様子や、家の周りの景色、学校や習い事の場所がはっきり分かるような写真は投稿しないと決めましょう。
- 制服を着たままの写真や、名札、学生証などが写り込んでいる写真も危険なので避けましょう。
- 見る人が嫌な気持ちになるものは載せない
- 誰かの悪口や、意地悪な様子の写真・動画は絶対に投稿しないと決めましょう。
- 見ている人が「これは載せない方が良いな」と感じるような、常識から外れた行動や危険な行動を写したものは載せないようにしましょう。
- 投稿する前に、一度立ち止まって確認する習慣をつける
- 投稿ボタンを押す前に、「これ、誰か見ている人が嫌な気持ちにならないかな?」「写ってはいけないものが写り込んでいないかな?」と、一度自分で確認する時間を持ちましょう。
- 心配な時は、お家の人に見てもらったり、相談したりすると安心です。
- SNSの「公開範囲」を正しく設定する
- 投稿した写真や動画を「誰に見せるか」は、SNSの設定で選ぶことができます。「友達だけに公開」「家族だけに公開」など、お子さんと一緒に確認して、ご家庭で決めた範囲に設定しましょう。全く知らない人にも見られる「全体公開」は、特に慎重に考える必要があります。
- 位置情報の設定を確認する
- スマートフォンの設定で、写真に位置情報が記録されないようにしたり、SNSに投稿する際に位置情報を削除したりする方法を確認し、必要であれば設定を変更しましょう。
ルール作りの大切なポイント
写真や動画の投稿に関するルールは、お子さんの安全を守るためにとても役立ちます。ルールを作る際には、次の点を心がけてみてください。
- 一方的に押し付けない: 「これはダメ」「あれはダメ」と一方的に指示するのではなく、「どうしてこのルールが必要なのかな?」と、リスクについて一緒にお子さんと話し合い、理解してもらうことが大切です。
- 「なぜ?」を丁寧に説明する: 「個人情報が漏れるとどうなるの?」「どうして友達の許可がいるの?」といった、ルールが必要な理由を、お子さんにも分かる言葉で具体的に説明しましょう。
- 完璧を目指さない: 最初から全てのルールを完璧に守るのは難しいかもしれません。まずは「友達の許可を取る」「場所が分かる写真は載せない」など、特に重要なことから始めて、少しずつ慣れていくようにしましょう。
- 困った時は相談できる関係を: もしお子さんが「これを載せたいけど大丈夫かな?」「友達との写真で困ったことがあった」という場合に、すぐに保護者の方に相談できるような、安心して話せる関係を作っておくことが、何よりも大切です。
まとめ
お子さんがSNSで写真や動画を楽しく、安全に利用するためには、投稿する際に潜む危険を知り、ご家庭でしっかりとしたルールを決めておくことが有効です。
プライバシーの漏洩、無許可での投稿、思わぬトラブルなど、「こんなはずじゃなかった」を防ぐために、今日ご紹介したような具体的な注意点やルール例を参考に、ぜひお子さんと一緒に話し合ってみてください。
家庭ごとの状況やお子さんの年齢、利用しているSNSの種類に合わせて、内容は自由にアレンジしていただいて構いません。お子さんを守るためのSNS利用ルール作りは、保護者の方に安心をもたらす一歩でもあります。
もしルール作りで迷ったり、お子さんのSNS利用について心配なことがあったりした場合は、一人で抱え込まず、学校の先生や専門の相談窓口に相談することも考えてみてください。