子供のSNS、ネット上の『見えない友達』:リスクと家庭で決める安全なつながりルール
子供のSNS、ネット上の『見えない友達』:リスクと家庭で決める安全なつながりルール
お子さんのSNS利用について、「知らない人とつながるのは心配だけれど、どうすれば良いのか分からない」と不安を感じている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
スマートフォンやインターネットが身近になった今、お子さんがオンライン上で知り合った人と友達になったり、メッセージを交換したりする機会も増えています。こうした「ネット上の友達」は、趣味が合ったり、同じことに興味を持っていたりする人たちとの新しい交流の場となり得ますが、一方で、いくつかの注意しておきたい点もあります。
この記事では、お子さんがネット上で知らない人とつながることにどのようなリスクがあるのか、そして、ご家庭でどのように話し合い、安全なつながり方のルールを決めていくかについて、分かりやすくお伝えします。
なぜネットで「見えない友達」ができるの?
まず、なぜお子さんがネット上で友達を作ろうとするのか、少し考えてみましょう。
SNSやオンラインゲームでは、共通の趣味や話題を持つ人たちが集まりやすく、学校や近所だけでは出会えない人たちと簡単につながることができます。「このアニメが好き」「このゲームで協力したい」といった共通点から、すぐに親しくなれることも少なくありません。
これはお子さんにとって、自分の世界を広げたり、新しい情報に触れたりする楽しい経験となり得ます。しかし、画面の向こうにいる人が、一体どのような人なのか、実際には分からない、という側面も持ち合わせています。これが、私たちがここで言う「見えない友達」です。
「見えない友達」とのつながりに潜むリスクとは
オンラインでのつながりは便利で楽しいものですが、注意しないと、お子さんが思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。特に、顔も名前も知らない相手とのやり取りには、いくつかのリスクが潜んでいます。
-
個人情報が知られてしまう危険: 「個人情報」とは、氏名、住所、学校名、顔写真、今いる場所の情報(GPS情報)など、その人自身を特定できるような情報のことです。ネット上で仲良くなった相手から、何気ない会話の中でこれらの情報を聞き出されてしまうことがあります。一度ネット上に載せてしまった情報は、完全に消すことが難しく、悪意を持った人に利用されてしまう危険があります。例えば、お子さんの写真が悪用されたり、住んでいる場所が知られてつきまとわれたりする可能性もゼロではありません。
-
甘い言葉で誘い出される危険: 残念ながら、中には子供に近づき、だまそうとしたり、危険な行為に誘い込もうとしたりする大人がいます。こうした人たちは、お子さんの好きなものに興味を示すふりをしたり、「悩みを聞くよ」「お小遣いをあげる」「モデルにならないか」など、お子さんが喜ぶような言葉で信用させようとすることがあります。そして、最終的には直接会うことを持ちかけたり、犯罪に巻き込んだりしようとします。
-
悪質なグループやコミュニティへの誘導: オンライン上には、特定の考え方を押し付けたり、危険な行為を美化したりするような、閉鎖的なグループやコミュニティが存在することがあります。お子さんがこうした場所に関わってしまうと、誤った情報に影響されたり、いじめや誹謗中傷に加担させられたり、自分自身が標的になったりする危険があります。
-
なりすましや詐欺の被害: 相手が名乗っている通りの人物とは限らず、「なりすまし」である可能性も考えられます。また、何か物を買わせようとしたり、お金をだまし取ろうとしたりする「詐欺」のようなケースも報告されています。
これらのリスクは、全てが起こるわけではありませんが、可能性として存在する、ということを知っておくことが大切です。
家庭で考える「安全なつながり方」ルール作りのステップ
このようなリスクを踏まえて、お子さんが安全にオンラインでのつながりを楽しむためには、ご家庭で「安全なつながり方」についてのルールを話し合い、決めておくことが有効です。一方的に禁止するのではなく、なぜルールが必要なのかを伝え、お子さんと一緒に考える姿勢が大切です。
ステップ1:なぜ注意が必要なのかを分かりやすく話す
まずは、先ほどお話ししたような、ネット上のつながりに潜むリスクについて、お子さんが理解できる言葉で具体的に説明します。「知らない人に住所を教えると、家に誰か来てしまうかもしれないんだよ」「『会いたい』と言われてもし一人で行ったら、何か怖いことが起こるかもしれないんだよ」など、お子さんが「それは大変だ」と感じられるように伝えます。
ステップ2:誰とつながるかのルールを決める
誰とオンライン上で友達になるか、具体的なルールを決めましょう。
- 基本的な考え方: 「実際に顔を知っている人、普段から交流がある人以外とはつながりにくい設定にする」ことを基本とするか、「知らない人でも、親に相談してからならOK」とするかなど、ご家庭の方針を話し合います。
- 具体的なルール例:
- 「会ったことがない人からの友達申請は受け付けない」
- 「共通の友達がいない人とは基本的にメッセージをしない」
- 「どうしてもつながりたい知らない人がいたら、まずお父さんやお母さんに相談する」
お子さんの年齢や理解度に合わせて、実現可能なルールを決めることが重要です。
ステップ3:どこまで情報を教えて良いかのルールを決める
ネット上でやり取りする相手に、どのような情報を教えて良いか、決して教えてはいけない情報は何かのルールを明確にします。
- 絶対に教えてはいけない情報:
- 自分や家族の氏名(フルネーム)
- 住所や自宅の近くの特徴(駅名、お店など)
- 学校名、学年、クラス
- 顔がはっきり分かる写真や、制服を着た写真
- 今自分がどこにいるかが分かるような情報(位置情報付きの写真など)
- 家族の連絡先(電話番号、メールアドレス)
- パスワード
- なぜダメなのか: これらの情報が知られると、身元が特定されたり、つきまとわれたり、なりすまされたりする危険があることを具体的に説明します。
- ルール例:
- 「ネットの友達には、絶対にお家の場所や学校の名前を教えない」
- 「自分の顔が写っている写真や、部屋の中が写っている写真は載せない、送らない」
- 「『どこにいるの?』と聞かれても、詳しい場所は教えない」
ニックネームを使うことや、アイコンを自分の写真にしないことなども、個人情報を守るための有効な方法であることを伝えると良いでしょう。
ステップ4:不審なやり取りへの対応ルールを決める
もしオンラインで怖いと感じたり、不安になったりするやり取りがあった場合の対応ルールを決めておくことは非常に重要です。
- どんな時に注意が必要か:
- 会ったことがないのに「会いたい」と言われた
- お金や個人的な情報(写真など)を要求された
- 何か秘密にしておくように言われた
- 気分が悪くなるような、乱暴な言葉を使われた
- 他の人の悪口ばかり言っている
- 連絡がしつこい、返信しないと怒る
- ルール例:
- 「ネットで知らない人から『会いたい』と言われたら、絶対にお父さんやお母さんに話す」
- 「何か変だな、怖いな、と思ったら、すぐにやり取りをやめて、お父さんやお母さんに相談する」
- 「やり取りの画面を見せるのが恥ずかしくても、困った時は必ず見せて相談する」
困った時に「親に言えば助けてもらえる」という安心感を普段からお子さんに与えておくことが、このルールを守ってもらうための土台となります。
親子で協力し、安全にSNSを楽しむために
ネット上の「見えない友達」とのつながりにはリスクも伴いますが、必要以上に恐れるのではなく、正しい知識を持って向き合うことが大切です。今回お話ししたルールはあくまで一例です。お子さんの利用状況や年齢、性格に合わせて、ご家庭で話し合い、最も合ったルールを見つけてください。
ルールを決めたら、それを紙に書き出したり、家族で共有できる場所に貼ったりして、「見える化」することも効果的です。そして、一度決めたら終わりではなく、お子さんの成長やSNSの新しい使い方に合わせて、定期的に見直し、話し合う時間を持つようにしましょう。
何よりも大切なのは、日頃からお子さんと信頼関係を築き、「もし困ったことがあったら、いつでもお父さんやお母さんが助けるよ」というメッセージを伝え続けることです。オンラインの世界でも、お子さんが安全に、楽しく過ごせるよう、ご家族で協力していきましょう。